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九州に鉄道を-…

 九州に鉄道を-。1882(明治15)年、福岡県会(現在の県議会)が決議した。中央政府に掛け合ったが、「融資の金利を払えるほど利益が上がるはずはない」と却下され、計画は立ち消えになった

▼86(同19)年に福岡県令(後に県知事)として着任した安場保和は、鉄道開設を諦めなかった。「九州鉄道布設の儀」という上申書をまとめ、懇意だった首相の伊藤博文に直談判。資本金を出す発起人の見込みが立てば許可する、との約束を取り付けた

▼安場は熊本、佐賀両県知事に呼び掛け、各県の有志に出資を求めた。さらに政府に利子の補給も要請。「鉄道は熊本、福岡、佐世保などの軍の拠点と長崎港、門司港などを結ぶ国防上必要なものだ」と説得し、利子補給を認めさせた

▼出資には長崎県財界も参加。88(同21)年に「九州鉄道」の設立が認可され、翌年12月、九州初の列車が博多駅から出発した。九州鉄道は後に国有化され、JR九州に引き継がれた。「九州の鉄道おもしろ史」(弓削信夫著)から引いた

▼九州の鉄道史に新しいページが加わる。JR九州が株式を上場し、完全な民間会社になる。ただ、昔も今も変わらぬのは鉄道経営の難しさだ。もうけ優先になれば、赤字路線切り捨ての懸念も拭えない

▼鉄道は先人が苦労して築き上げた九州の財産である。いつの時代も、地域を結ぶ鉄道は暮らしに必要なものだという役割は変わらない。


=2016/09/23付 西日本新聞朝刊=

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