恋人に別れを切り出された男が言う…

 恋人に別れを切り出された男が言う。「行っちまいなよ。俺が電話を次の女にしているうちに」。回すダイヤルは「177」。別の女性と話しているふりをして、天気予報に相づちを打つ。男の強がりか、去っていく恋人への思いやりか

▼1981年に野口五郎さんが歌った「ダイヤル177」(作詞・伊藤アキラさん)。くもり後雨 177/どうせ降るなら 嵐にしておくれ。昭和の薫りたっぷりの切ないバラードだ。電話で聞く天気予報が身近な時代だった

▼NTTの固定電話から発信される「177」の利用件数が、10年間で約5分の1に減ったそうだ。固定電話の減少に加え、携帯電話やNTT以外の通信会社からの発信は集計に含まれないという事情も

▼それ以上に大きな要因は、インターネットの普及だろう。スマートフォンなら、ワンタッチで1時間ごとの天気や気温などの詳しい気象情報を知ることができるようになった

▼ただ、減少傾向とはいえ、昨年度の利用件数は1日当たり約3万8千件もあった。ネットを使わない高齢者や視覚障害者にとって、177は強い味方。NTTもサービスは続けていくという

▼10年ぶりくらいだろうか、手元の固定電話から177にかけてみた。「ピンポンパンポーン、福岡管区気象台発表の…」。流れてくる女性の声は、人工音声のはずなのに、なんだか懐かしい感じがして、相づちを打ちたくなった。


=2016/12/02付 西日本新聞朝刊=

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