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ことし92歳になるサブローさんから、フランス語で書かれた賀状を頂いた…

 ことし92歳になるサブローさんから、フランス語で書かれた賀状を頂いた。〈退院後は、人生のバラを摘みながら、日々、良い時間を過ごしています〉。バラに例えたのは大切な時間か、過ぎ去った美しい思い出か

▼サブローさんとは語学学校で知り合った。古希を過ぎて始めたフランス語。熱心さに頭が下がった。喜寿を迎えた頃にはフランスへ一人旅。当時、駐在していたパリで再会の杯を交わした

▼賀状には〈命ある限り、希望はある。それがまさに真実だと信じています〉とも。すてきな文章と丁寧な文字からは、勉強を続けている様子がしのばれる。すっかり怠けているこちらが恥ずかしくなった

▼高齢者は「65歳以上」の定義を「75歳以上」に見直してはどうか。日本老年学会などがそう提言した。医療の進歩などにより10年前と比べて、運動や知的な能力が5~10歳若返っているという。65~74歳は「准高齢者」にとも

▼屈指の長寿国・日本。65歳を過ぎても現役バリバリの人は周囲に大勢いる。年を重ねても好奇心や向上心を失わず、心にバラを咲かせられる人生は素晴らしい。74歳の准高齢者が「まだまだ老人見習い中です」と笑える社会は悪くない

▼ただ、見直しは労働力確保のために現役年齢を延長しつつ、年金や医療費を削ろう-との思惑も透けて見える。国のそろばん勘定で老後の暮らしが振り回されては、人生のバラも色あせそうだ。


=2017/01/11付 西日本新聞朝刊=

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