愛知県で古瀬戸焼の壺(つぼ)が見つかった…

 愛知県で古瀬戸焼の壺(つぼ)が見つかった。鎌倉時代後期の年号「永仁」の銘があり、付近の土中からはそれらしい陶片も。文化財専門家の審議を経て1959年、国の重要文化財に指定された

▼不審の声は発見当初から出ていた。翌年、地元の陶工が「自分が作った」と偽造を認める。重文指定は取り消しに。ただ陶工親子が別々に「作者」を名乗り出るなど、「永仁の壺事件」の真相は今も謎を残す

▼秘蔵のお宝を鑑定するテレビ番組を巡り騒ぎが起きている。問題になったのは徳島県の男性が所有する茶碗(ちゃわん)。古美術鑑定家が希少な「曜変天目茶碗に間違いない」と2500万円の値を付けた

▼事実ならば国宝級の大発見。徳島県も文化財指定へ調査をする意向だったが、所有者は一転して鑑定拒否に。番組放送直後から、こちらも「偽物では」との声が上がっていたという

▼由緒正しいと伝わる一品が二束三文だったり、逆にがらくた同然のものが思わぬ逸品だったり。番組は鑑定結果にも増して、出品物にまつわる物語や人間模様が面白くて人気である。結論は当面お預けだが、専門家とて絶対真理の鑑定眼は持ち得ないということなのか

▼「永仁の壺」では真贋(しんがん)の決着に国内初の手段が取られた。上薬などの科学的分析である。論より証拠。経験や知見よりデータ。そもそもごみの撤去費は正確にいくらなのか。科学の鑑定評価を、かの小学校建設予定地にも。


=2017/03/20付 西日本新聞朝刊=

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