23人の人格を持つ男に監禁された3人の女子高校生は無事逃れられるか-…

 23人の人格を持つ男に監禁された3人の女子高校生は無事逃れられるか-。公開中の米映画「スプリット」。9歳の少年から上品な女性まで、主演男優の演じ分けが見ものだ

▼この人も人格を使い分けているかのよう。ビデオメッセージで、憲法9条に自衛隊の存在を明記し、2020年に施行したいと語った安倍晋三首相だ

▼改憲は国の根幹に関わる重大事。首相が考えを唐突に表明し、時期まで示したからには、国会で論議されるのが当然だ。だが、首相は「自民党総裁としての発言」「この場には首相として立っている」とまともに答えなかった

▼詳しくは「(インタビューが掲載された)読売新聞を熟読してほしい」とも。これほど国会と、国会議員を選んだ国民をばかにした話もない。都合良く「首相」「総裁」と使い分ける姿は、窮地に陥ると別の人格が現れる映画の主人公を思い出す

▼森友学園問題では妻昭恵さんも。教育方針に賛同して名誉校長になったのは「私人」、夫人として首相を支えるときは「公人」なのだとか

▼今度は「友人」の顔が。「腹心の友」の獣医学部新設を巡り、内閣府が文部科学省に「総理のご意向」と言ったとする文書が出てきた。あれこれ顔を使い分けようと、周囲は首相の意向と受け取り、忖度(そんたく)が生じる。国政の最高責任者という「主人格」からは逃れられないのだから、詭弁(きべん)を弄(ろう)せず疑惑に正面から答えるべきだ。


=2017/05/19付 西日本新聞朝刊=

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