幼い頃の病気で、見えない、聞こえない、話せないという「三重苦」を負ったヘレン・ケラー…

 幼い頃の病気で、見えない、聞こえない、話せないという「三重苦」を負ったヘレン・ケラー。そのハンディを乗り越え、社会福祉事業家として大きな功績を残した。海外でも積極的に活動し、日本は3度訪れた

▼初来日は1937年。日本各地を巡り、秋田市では講演した。この時、ヘレンには欲しいものがあった。秋田犬である。「忠犬ハチ公」の逸話は米国でもよく知られていて、どうしても連れて帰り、「日米友好の絆にしたい」と思った

▼ところが、純粋な秋田犬はなかなか手に入らない。その話を知った地元の警察官が、自分が飼っている秋田犬の子「神風号」を、と申し出た

▼米国に渡った神風号は、残念ながら2カ月後に病死した。ヘレンの嘆きを伝え聞いた警察官は、神風号の兄弟「剣山号」をもう一度贈った。剣山号はヘレンにとって、かけがえのない家族になったそうだ。そういえば、親善のためロシアのプーチン大統領に贈られたのも秋田犬だった

▼大昔から犬は人間の良きパートナーとされるが、今や猫に押され気味。ペットフード協会の推計では、国内の犬猫飼育数は今年、1994年の調査開始以来、初めて猫が犬を上回った。最近の猫ブームが背景という

▼少子高齢化が進み、毎日の散歩が必要な犬と比べ、手間が少ない猫を選ぶ飼い主が増えたのも一因とか。来年は戌(いぬ)年。ヘレンにも愛された犬たちは主役の座を取り戻せるか。


=2017/12/30付 西日本新聞朝刊=

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