〈人は女に生まれるのではない、女になるのだ〉…

 〈人は女に生まれるのではない、女になるのだ〉。フランスの女性作家で哲学者のボーボワールが、著書「第二の性」に記した有名な一節

▼いわゆる「女性らしさ」とは、社会的につくられた約束事にすぎない-という意味だ。その社会の中心は男性で、女性は男性に従う「第二の性」とされていると主張。フェミニズムの立場から、女性の解放を訴えた

▼著名な哲学者サルトルと、互いの自由恋愛を認めた「契約結婚」したことでも注目された。当初、2年契約だったが、2人の関係はサルトルの死まで50年続いた。きのうはボーボワールの生誕110年だった

▼おとといが34歳?の誕生日だったとされるあの人は、独裁者に生まれたのか、独裁者になったのか。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長である。米国に敵意をむき出しにし、核・ミサイル開発にひた走ってきた。国外の脅威をあおり、先軍政治に従うことを国民に強いる独裁体制は、“金王朝”を維持するためにつくられた約束事か

▼そのかたくなな態度に軟化の兆しが。北朝鮮が韓国との閣僚級会談に応じ、平昌五輪に参加すると表明した。これをきっかけに、途絶えていた南北対話の復活につなげ、核・ミサイル問題打開の糸口にもしたい

▼金氏が生まれながらの独裁者ではないと信じて、誕生日のお祝いにボーボワールの言葉を。〈人間は社会や他者との関係によってしか人間たりえないのです〉


=2018/01/10付 西日本新聞朝刊=

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