西日本新聞電子版 1周年記念プレゼント

核廃絶「ICAN」にノーベル平和賞 米、改めて条約不支持 報道淡々、関心も低調

 【ワシントン田中伸幸】核兵器禁止条約を推進した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)へのノーベル平和賞授与について、米政府は6日、条約を支持しないとの姿勢を改めて示した。一方、国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長は記者団に、核超大国の米国を念頭に「市民が政府を(核廃絶に向けて)どのように動かしていくのかを考える重要な契機になればいい」と期待感を表明。しかし、米国内の報道は受賞の事実を淡々と伝える内容が多く、世論の関心が高まる気配も見えないのが実情だ。

 米政府の軍縮当局者はこの日、会見は開かず、従来の見解を取材メディアに繰り返す静かな対応。午後のサンダース大統領報道官の会見では、北朝鮮やイランの核問題関連の質問が相次いだものの、これはトランプ大統領が5日、軍高官らとの会食時に「今、嵐の前の静けさの状態にある」と発言したことを受けて、報道陣が「北朝鮮への軍事行動か」などと真意を確かめようとしたため。平和賞関連の質疑は一切なかった。

 トランプ氏が北朝鮮に対して核兵器を使用する可能性をほのめかすなど、核危機が高まる中での今回の平和賞について、ノーベル賞委員会は「誰かを非難する意図はない」と説明している。とはいえ米国やロシアなど全核保有国が条約加盟を拒否。特に米国は各国に署名をしないよう働き掛けたとの指摘もあるだけに、「核保有国への圧力を強める」と断言するICANの受賞を契機に今後、米国の核軍縮への消極姿勢が強い批判にさらされかねない。

 しかし、政府と同様、米市民の反応も「北朝鮮などの問題を抱える中、平和賞で米国の核政策が変わるとは思えない」(ワシントンの団体職員)と低調だ。

 米国の軍縮政策に関わった経歴を持つ米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)ディレクターのスクアソーニ氏は、今回の平和賞と核兵器禁止条約の意義について、「条約加盟拒否を明言しているトランプ政権下では、核兵器を巡る危険性を短期的に減らす効果はない」と指摘。一方で長期的に核軍縮につながる効果をもたらすかどうかは「市民の核依存の考えを変えられるか否かにかかっている」と話した。

=2017/10/08付 西日本新聞朝刊=

→電子版1周年記念!1万円分賞品券やQUOカードが当たる!!

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]