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元行員「タイで救われた」 最低でも月10万円必要 優雅な年金生活は夢か

チェンマイで第二の人生を踏み出した岡晴雄さん(右)。左は妻ピチャーモンさん
チェンマイで第二の人生を踏み出した岡晴雄さん(右)。左は妻ピチャーモンさん
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 チェンマイで第二の人生を踏み出し「救われた」と感謝している人もいる。

⇒「第二の人生」タイへの移住で思わぬ事態 日本人の困窮者が続出

 銀行マンだった岡晴雄さん(67)は、若い頃から働きづめの毎日だった。債権回収の現場では暴力団とも渡り合った。「自分は心臓に毛が生えた、強い人間と思っていた」と言う。

 しかし、妻をがんで亡くして、生活が一変した。自宅介護の疲れやストレスから、うつ病を発症。「自暴自棄になり、毎日死ぬことばかり考えていた」

 このままではいけないと一念発起し、56歳の時、単身でチェンマイに渡った。タイ人のピチャーモンさん(44)と再婚すると、義理の息子の助けもあって5年でうつ病を完治させた。

 「彼女は乳がんの経験があってね、亡くなった前妻と重なったのかな」と岡さん。義理の息子と関係を築けたことも大きいという。「タイに来て怒ることをやめた。ルーズな部分も多い国だが、どこかほっとする。日本人は何かに縛られているのかも」と笑う。

 ロングステイ財団(東京)によると、日本人のロングステイ希望国・地域で、タイは2016年まで6年連続で2位。1位はマレーシア。弓野克彦事務局長は「物価が安く、アクセスが良く、暖かい。安近暖が最近のトレンド」と言う。

 首都バンコクに3年半滞在している男性(68)は「街に活気があり、日本の地方より便利で刺激がある」と目を見張る。週に2回は1回2千バーツ(約7千円)のプレー代でゴルフざんまい。「飽きたら日本に帰る」と自由気ままだ。

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 しかし、こうした成功例はほとんどが年金以外に十分な蓄えのあるケース。タイの物価は経済成長に伴って年々上昇。この10年で消費者物価指数は2割上がった。アベノミクスによる円安で、為替メリットも享受できなくなっている。

 タイの企業「ロングステイ・コンサルティング」の佐藤裕社長は、滞在期間や生活レベルで幅があるとした上で「夫婦がタイで生活するには住居費込みで最低でも月3万バーツ(約10万円)は必要。趣味も旅行もとなれば5万バーツ(約17万円)以上はかかる」と話す。

 重要なのは病気への備えだ。タイは外貨獲得のためロングステイを推奨しているが、そうした人向けの医療保険は未発達。日本で海外旅行保険に加入して渡航するのが理想だが、保険料は高額だ。タイの民間保険には60~65歳以上は加入できず、審査も厳しい。

 佐藤さんは「『病気になったら帰国し、日本での生活に戻る』と決めて渡航する人も多い。全て処分して海外に渡るのではなく、コストはかかっても、住民票を抜かずに自宅を維持し、国民健康保険を活用する道も残しておくことを検討すべきだ」と話した。

⇒安価なアジア人気 タイの主なロングステイビザの取得要件

=2017/10/16付 西日本新聞朝刊=

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