習氏、2期目も反腐敗 相次ぐ自殺者、過酷な取り調べに懸念

 【北京・川原田健雄】中国の習近平指導部が、2期目も反腐敗運動に力を入れている。規律違反の疑いで共産党や政府の高官らを相次いで摘発し、習国家主席の右腕だった王岐山・前党中央規律検査委員会書記の引退後も追及を緩めない姿勢を示した。一方、追い詰められた高官の自殺は後を絶たず、人権団体からは過酷な取り調べに懸念の声が出ている。

 「第19回党大会後、初めてのトラ(大物幹部)だ」。11月下旬、中央規律検査委が規律違反の疑いで魯〓・元党中央宣伝部副部長を調査していると発表すると、インターネット上に称賛の声が上がった。魯氏は国営通信新華社の副社長や北京市宣伝部長を歴任。国家インターネット情報弁公室主任時代は厳しいネット規制を進めたことから「ネットの皇帝」と呼ばれた。

 中央規律検査委は「反腐敗運動が和らぐことはないという強いシグナルだ」と強調。他にも遼寧省副省長や甘粛省蘭州市長など、地方幹部の調査を矢継ぎ早に発表した。王氏の引退後、中央規律検査委トップの書記には趙楽際・前党中央組織部長が就いたが、王氏のような剛腕を発揮できるか海外メディアから疑問の声が出ていた。一連の発表はそうした見方を払拭(ふっしょく)する狙いがあるとみられる。

 反腐敗運動は庶民の支持を得ているが、ずさんな捜査や過酷な取り調べがないか懸念もくすぶる。

 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターによると、中国の係長級以上の官僚で自殺した人は2015年に1500人、16年に1700人に達した。年間1300人の役人が自殺した文化大革命時を上回り、17年はさらに増加する見通しという。

 中国軍の最高指導機関、党中央軍事委員会の委員だった張陽・前政治工作部主任も、汚職や規律違反の疑いで取り調べ中の11月23日、自宅で自ら命を絶った。

 調査で汚職官僚に認定されると財産は没収され、メディアの報道で子どもの進学や就職にも影響が出るという。こうした事情も調査を受けた官僚たちが自殺を選ぶ原因となっている。

 反腐敗運動は、習氏の政敵を追い落とす権力闘争の色合いが濃い。同センターは「文革当時は批判大会で反論の機会を得られたが、今は問答無用で裁かれる。新中国建国以来、最もひどい状況だ」としている。

※〓は「火へん」に「韋」

=2017/12/06付 西日本新聞朝刊=

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