「慰安婦」なお平行線 日韓首脳会談

 【平昌・一瀬圭司】9日の首脳会談で、安倍晋三首相が慰安婦問題を巡る日韓合意の着実な履行を求めたのに対し、韓国の文在寅大統領は「問題を解決できない」と従来の立場を説明し、両者の主張は平行線をたどった。韓国内には合意に対する根強い反発があるが、破棄すれば日韓関係に深刻な影響を与えるのは必至。両首脳は「未来志向の日韓関係をつくり上げていく」との認識を共有することで決定的な対立は避けたが、慰安婦問題の着地点は見いだせていない。

 カメラのフラッシュを浴び、笑顔で握手する文氏に対し、安倍首相は硬い表情を崩さなかった。

 「日韓合意は国と国との約束であり、政権が代わっても約束を守ることは国際的かつ普遍的な原則だ」。首相は会談の冒頭から文氏を見据え、厳しい言葉を並べた。

 慰安婦問題で日本政府は、日韓合意に沿って政府の責任を認め、韓国の財団に10億円を拠出することで「最終的で不可逆的な解決」を確認している。文氏が合意を覆すかのような新方針を打ち出したことから、自民党内や首相を支持する保守層を中心に、首相の平昌五輪開会式への出席に反発する声が上がっていた。

 首相の文氏への厳しい姿勢は、保守層向けのメッセージが込められていることは間違いない。

 一方、文氏も韓国内には合意に対する根強い反発があることから、「合意は元慰安婦や国民が受け入れておらず、問題の解決にならない」との従来の立場を譲らなかった。

 ただ、合意を破棄すれば、日韓関係に致命傷を及ぼすのは必至。北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威が高まる中、日米韓の連携を揺るがす要因をつくるのは避けたいジレンマもある。

 「日韓米の強固な協力関係は決して揺らぐことはない」。両首脳ともに連携を強化する必要性は共有するが、国内世論に配慮し「強いリーダー」を演出しなければならない事情もある。 両首脳とも譲れない主張を繰り返して折り合うことはなく、解決の糸口は見えてこない。

=2018/02/10付 西日本新聞朝刊=

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