燃え続ける地下火災

 トランプ米大統領は地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から米国が離脱すると発表。大きな理由の一つは石炭産業の復活と炭鉱従業員の雇用回復という公約実現だった。

 米国の石炭産業といえば、ペンシルベニア州の町セントラリアを思い出す。19世紀後半から炭鉱で栄えていたが1962年、大規模な坑内火災が発生。連邦政府が退去勧告を出し、ゴーストタウンとなった。今も地下で火は燃え続け、煙や有毒ガスが噴出。今後250年は鎮火しないだろうともいわれている。

 昨年、町制150周年を記念する会が催され、約200人の元住民が集まった。その時のビデオを、インターネットを通じて見ることができた。「子どもは野山を駆け回って本当にいい所だった。私の心はいつもセントラリアにある」と、高齢の女性は話していた。

 どうしても東京電力福島第1原発事故で避難させられた人たちのことを連想してしまう。こんな思いをする人を出さずにエネルギーをつくれないものか。大統領も私たちもそれを優先し考えるべきじゃないのか。 (井手)


=2017/06/13付 西日本新聞夕刊=

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