見栄えの国の実生活

 シャネルにヴィトン、サンローラン…。フランスはファッションの国。パリ勤務時代、届いたショーの招待状を見て驚いた。その紙の分厚さ、凝りに凝ったデザイン、字体、切り絵細工のようなものも。どこまで見栄えを大切にする人たちなんだ、と思ったものだ。

 ところが実生活はそうでもないらしい。欧州連合(EU)統計局の家計調査(1人当たり)では、2016年にフランス人が服と靴にかけたお金は支出全体の3・7%で668ユーロ(約9万円)。着道楽で知られるイタリア人(6・2%、1061ユーロ=約14万3千円)に遠く及ばず、質実剛健とされるドイツ人(4・5%、855ユーロ=約11万5千円)よりも低い。そして別の調査では7割近くの人が「ファッションに関心なし」と答えている。

 そういえば肉や野菜と同じく衣服も市場で売られていて、買う人も多い。ただスカーフとかマフラーとかアクセントの小物使いには感心する。ブランド物は大金持ちや外国人に売って、自分たちは堅実に安くおしゃれを楽しむ。にくいねえ、フランス庶民。 (井手)


=2018/01/11付 西日本新聞夕刊=

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