Q 互いにエールを。
谷崎 ラグビーは社会人とか上のレベルと対戦することがないから、うちのバレー部の先生に※プレミア勢に勝つことの意義を聞いたんですよ。そしたら「1セット取るだけで奇跡ですよ。それが2つ勝ったし、負けた準決勝も1セット取ったから、すごいことを越えている」と。言葉に表現しようがなかった。今の話を聞いていると、(うちのチームと)一緒なんだな、と。男も女も競技が違っても指導の形として。
相原
共通しているのは、「心技体」そして「知」とあるけど、1番必要なのは愛情というか「愛」。僕は、※プレミア勢と戦ったとき、タイムで何を言っているかというと「お前たち愛情だ、愛。逆境になっていたら、パス出すとき、そのトスに愛情を持って出してみろ」と。そうしたら打つ方は責任を持って打つ。ちょっとのことです。それがコート上に力倍増の掛け算、コンビネーションを生んでいく。愛のないやつがやっていたら引き算になる。せいぜい足し算にしかならない。
勝ち続けるチームはいつもコート上で掛け算が起きるチームになっている。その根っこは愛なんですよ。僕らの選手に対する愛情とか、選手が先生を尊敬する愛情とか。谷崎監督の話を聞いても、勝ちきる人の根っこは愛なんだなと思いました。
谷崎
最後は心ですけど、いくら情熱を注いでも、技術がなければ感動的にさせられない。ベースができているから心が生きている。
掛け算の怖さはゼロがある。ゼロが入ったらすべてなくします。一つ欠けたら。
最後は心のつながりですから。やっぱりチーム、組織ですから。
相原
勝っても負けてもしらーっとしているチームもあるんですよ。
ノーサイドで感動した、とか言っていても、顔を見たら分かる。いい試合だったな、とか。しらーとしていたら、「なんだ、こいつら」と。僕はラグビーでもバレーでも日本の競技はジーンと来る戦いとか顔つきでやってほしい。
谷崎 やっぱり人間を相手にしていますから。男子であれ女子であれ、人と人との付き合いは心と心でつながっている。1番つながっているところは愛。愛というのは信じることであって、受けるのではなく、いかに与える、尽くすか。最後は許すこと。
相原 20歳、30歳のときには気付きもしなかった。「何で勝てねーのかな」と思うだけで
谷崎 同じ言葉使っているんでしょうけどね。「感謝しろよ」と。でも、感謝させているんですよ。選手たちはしてないんですよ、言っているだけで。重みというか、おかげさまで今があるという謙虚さが出てきて、ありがとう、となる。
相原 球技っていうのは、点じゃなくて線になる。バレーはワンタッチの競技ですが、線に見えてきて初めて強くなる。点々じゃ強くなれない。結束しないと線になれない。
谷崎
ラグビーでいったらディフェンスですよ。点でいったら壁になれない。心を一つにして、ラインとしてつながっていないと。
競技に関係なく、社会もすべて一緒。家族も企業もてんでバラバラじゃだめ。スポーツを通してそういうのを学ぶ。スポーツの持つ意味はそういうところもある。
今は(優勝した)子どもが、高校のときこういうことをしていたから勝てたと思うのが怖い。今から指導方針とかいろんなもので違う人に出会いますよね。こういう教え方があると、自分らは違いを認めて尊重してきた。これを生徒には伝えているけど。彼らもヒガシを出て行って、違うところにいったときに違いを認めることを一番大事にしてほしい。
相原 子どもたちを送り出すときに、そういう送り方をしないといけない。僕は卒業生と携帯電話とかメールは絶対しない。
谷崎 大学生が進路相談きても、絶対しない。(大学の指導者に)失礼ですから。預けたわけですから。
谷崎 相原監督、チームの次の目標は?
相原
近い目標は春高3連覇です。だけど、それがすべてじゃない。「いいバレーをするな」と思われるバレーをしたい。今度のチームは、明らかに(体格が)小さくなるけど、技術力と精神力は前のチームより上。それをどのように最高に持って行けるか。
僕は目標を立てない。目標を達成すると(その時点で)終わってしまう。あんまりそれを言ってしまうと、目標を取りきったらダメ人間になる可能性もある。逆に取れなかったら落ち込みも激しい。
谷崎 質を求めたら永遠。ゴールはないですから。
相原 無限なんですよ。「最高の追求をしようぜ」が僕の口癖なんです。それはイコール無限だよ、と。自分が辞めたと言わない限りは、ずっと楽しく頑張れる。ちょっとずつ上がれば最高ですから。
谷崎
全力で取り組むものがある。楽しくというと、日本はおもしろおかしくとなる。でも、全力で取り組むことが楽しむこと。1日24時間と決まっているじゃないですか。その1分1秒が大事。それをけがなくできていることが幸せ。その当たり前のことに感謝できたら何でも一生懸命できる。
連覇とか言われるでしょ。僕は、そういうのに流されない。自分の考えでは、(全国高校ラグビーで)トップ4(4強)に入ったら運なんですよ。けが人とか出たりしますから。ですから自分の中ではトップ4を維持したいというのはある。
対談でガッチリ握手を交わす東九州龍谷高バレーボール部の相原昇監督(左)と東福岡高ラグビー部の谷崎重幸監督相原 僕ら監督は責任がある。負けたら二度とこんな思いをさせちゃいけないと思いますね。 そのために頑張ろうとね。
谷崎 その負けたときの責任は常に感じますよね。勝ったときはおかげさまですよね。監督には勝っても何もないですよね。
相原 本当に何もないですよ。勝ったからだからどうなるのって、何にもならない。 勝っても人生変わらず、です。
谷崎 (新聞を指し)こいつら、負担だけ残していきますよね。でも財産、うれしいことです。