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寒風の中、カネヒラ上げた 2時間粘り 貴重な1匹 福岡県鞍手町の用水路

2010年1月26日 カテゴリー:淡水魚 / 福岡 / 釣りニュース

 寒風の中で小魚のタナゴを釣るのが江戸風流の一つであった。この粋な釣りに触れてみたくて福岡県鞍手町の用水路に出掛けた。 (香月駿一郎)

 タナゴを題材にした小説に潮見三郎著「たなご大名」がある。タナゴ釣りに凝った大名の下で「たなご番」になった武士の哀歓を描いたものだ。その一節に、冬に大名が釣る描写がある。
 
 「北風を避けるように、御紋章の入った金屏風(びょうぶ)をぐるりと周囲に張り…緋(ひ)の毛氈(もうせん)を敷き詰め…座布団、酒肴(しゅこう)などを配置…」
 
 この大名釣りとは天地の差があるが、周囲の風景は寂しい冬田だけの世界は同じだ。
 
 この日の狙いはカネヒラ。タナゴの仲間では比較的大きく、タナゴ釣り師の間では人気の魚だ。この用水路では、カネヒラとヤリタナゴがよく釣れる。ヤリタナゴは春型の産卵で、この時には見事な婚姻色が魚体を飾る。カネヒラは秋型の産卵のため、2カ月前に釣りに来た時には赤や青など熱帯魚に負けない色を出していた。
 
 かつて入れ食いしていたポイントにさおを出すが当たりがない。冬は食いが悪いのは当然だが、タナゴも季節によっては移動する。用水路の水は近くの池に流れ込んでいて、タナゴたちは既に池に落ちているのかもしれない。その池ではブラックバスを狙うルアー釣りの人がキャストを繰り返していた。
 
 ポイントを変えて攻めると、ようやく当たりがあった。カネヒラではなくヤリタナゴだった。
 
 寒い。手がかじかむ。吐く息でかすかな暖を取りながらカネヒラを求めて転戦。2時間粘り、ようやく色のないカネヒラを釣り上げた。それほど大きくはないが、貴重な1匹だった。
 
 寒風に身をさらしながらのこの釣果。風流とは、げに過酷なものなり。
 
 
=2010/01/26付 西日本新聞夕刊=


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