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アユの友釣り 達人の技 経験、工夫...深い魔力 福岡県・矢部川

2013年9月11日 カテゴリー:淡水魚 / 福岡 / 釣りニュース

 福岡県南部を流れる矢部川は同県内ではアユ釣りの聖地だ。その川の主が「酔渓」の号を持つアユ釣り師の堤良徳さん(62)=同県大木町=だ。30年以上、この川と暮らしている師に同行した。

 釣行の日、前日の雨で川に濁りが入っていた。
「上(上流)に行こう」。川の隅々まで熟知している堤さんは即断した。途中、おとりアユを買った。
 
 「おとりアユは1匹買えばいい」。経験による自信と暗示だ。おとりアユが弱ったり、底石に取られたりしたら...。初心者の私は保険をかけて3匹買った。
 
 私は少し深場、堤さんは瀬へ。すぐに、堤さんが私に「このアユに替えよ」。もう、1匹釣ったのだ。養殖のおとりアユと野アユは別の生き物のように動きが違う。「最初の1匹を早く釣ることだ」
 
 堤さんが釣った野アユでポイントに入れようとするとすぐに掛かった。25センチ。そのアユをまた、付け替えた。鼻カンから下を含め仕掛けは長年の経験の中で工夫、進化した堤オリジナルだ。
 
 「いかにおとりアユを潜らせるかと、強さを考えたものです」
 
 晩夏の矢部川のアユは大きく成長している。この日釣れたアユの平均は約25センチ。堤さんが掛けたアユの中にはサバにも似た尺クラスもいた。強さがないとなかなか取り込めない。掛けるより、取り込みの方が難しい。
 
 アユに出合ってからの堤さんは「アユなくしてなんの人生ぞ」と言い切る。家にいるときは仕掛けを考え、週3日は清流の中で一本の杭(くい)になる。「アユ釣りをやめたときは死です」。こう言わせるほどアユの友釣りは深淵(しんえん)な魔力を秘めている。
 
=2013/09/10付 西日本新聞夕刊=


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