波止釣り20センチのサヨリ 冬の定番 3時間で10匹 福岡市・博多湾
釣り人はそれぞれ自分の釣り暦を持っている。私の冬の定番はサヨリ釣りだ。春から夏に生まれたサヨリは20センチくらいに大きくなっている。博多湾内の波止に出かけた。
サヨリは集団の釣りだ。皆のまき餌で寄せたサヨリを分かち合う釣りだ。サヨリがその場所を離れて行かないように、各自が協力して、海上にまき餌が切れないようにする。この暗黙のルールがあれば数釣りは可能だ。
波止に行った。釣り人が1人いた。フカセ釣り。「チヌを狙っています」。毎日、この波止に通っている。
「サヨリ? 日によってムラがありますね」。サヨリ釣りはだれもいない。困った。1人でまき餌をしなくてはいけない。
かつてのサヨリ釣りはハヤざおで十分だった。しかし、現在はリールの遠投釣りが一般的になった。ポイントが岸から遠くになった。その分、手返しが悪くなり、釣果は少なくなる。
遠投用のコマセかごに、当たり浮き。小さな針に小さなサシアミ。遠投だとエサが外れやすいので、丁寧に付けるのも釣果を分ける。何度も投げる。まき餌は効いているのか。
そこに、新しい釣り人が来た。女性だ。釣りガールと呼ぶには年配である(失礼)。
「今は雨の日以外はサヨリを釣っています。一夜干しのサヨリがおいしいです」
一緒にまき餌。ようやく、ぽつぽつと当たりが出始めた。当たり浮きが左右に跳ねる。時にはジャンプする。これがサヨリ釣りの楽しみでもある。
3時間で10匹。
サヨリは朝早くなくても釣れる。穏やかな冬の日、サヨリと戯れるのも一興だ。
=2013/12/10付 西日本新聞夕刊=