【連載】頂点へ再挑戦 佐賀商2年ぶり甲子園<中>一丸 「個」の力をチーム力に

080728_saga.jpg ■野球選手の体に

 森田剛史監督は、佐賀商のコーチとして過去3年間で2度の甲子園を経験。その時に感じたのは全国の強豪校との体格差だった。「やる前から負けるだろうという感じだった」。佐賀商ナインより1回り以上大きい選手たちに圧倒された。

 全国を見据えた佐賀商ナインの肉体改造が始まったのは昨年5月。筋力トレーニングに練習時間の約半分を費やし、筋肉の土台をつくった。昨年秋ごろには、重たいゴムボールを投げたり、重りを持ったままジャンプしたりして瞬発力を鍛えるトレーニング法「プライオメトリクス(PM)」を導入。「筋トレだけだと硬い筋肉しかつかない。PMで野球で使う筋肉がつくれた」と森田監督は明かす。

 「打球の速さが以前と違う」。筋トレの成果を話す樺島賢吾選手は筋肉がつき、1年間で体重が5キロ増えた。にもかかわらず、50メートル走が6秒6から6秒1に。エース古賀昭大投手は春以降、球速が約5キロアップ。速い球を投げようと、制球を乱すこともなくなった。

 ■ベンチ外で奔走

 個人の力をチームの力に。次なるテーマは、ナイン自身が実践した。

 県大会決勝後、学校そばの同窓会館での祝賀会。閉会しかけた時、片岡大樹主将が発言した。「メンバー以外の3年生出てきてください」。ベンチ入りがかなわなかった3年生部員が前に出てくると、ベンチ入りした3年生がもらったばかりの優勝メダルを首にかけた。片岡主将から「おまえたちのおかげで優勝できた」と声をかけられた下村武士君は「うれしかった」と素直に喜んだ。

 下村君らは、県大会で次に対戦するチームの情報収集に奔走した。球場でのビデオ撮影。配球を記録し、投手のくせを盗んだ。初球の入り方、球種、コースなどを投手別にまとめて選手に報告した。試合では、スタンドから声を張り上げた。

 「勝利に向けてチームがまとまり、部員全員が同じ意識を持った。この一体感は甲子園でも生きるはずだ」。森田監督は手応えを感じている。

 ■一球一球に声を

 県大会では全試合で先制点を挙げた佐賀商。「甲子園でも3回までが勝負だ」。初戦(8月9日第1試合)の対戦相手が倉敷商(岡山)に決まった翌日の25日、朝の全体練習で森田監督は選手を前に語気を強めた。県大会と同様に先制して試合の流れをつかみたい。

 だが、甲子園で普段の野球をする難しさを知る森田監督。自身も佐賀商時代に甲子園の土を3回踏んだ。「足は震え、周りが見えない」。それだけに監督としての仕事は決めている。「選手の緊張をほぐせるように一球一球声を出したい」

 1994年に全国制覇した佐賀商だが、最近2回の夏の甲子園はいずれも初戦敗退。森田監督の「全国で勝てるチームづくり」が試される。

【写真】プライオメトリクス・トレーニングで野球に必要な瞬発力をつける佐賀商ナイン

=2008/07/28付 西日本新聞朝刊=

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