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【西スポ・甲子園ベンチ裏】東筑2年生のフェンス激突好捕 ソフトBスカウトも21年前…

3回1死二塁、済美・吉岡の中飛をフェンスに激突しながら好捕する東筑・阿部
3回1死二塁、済美・吉岡の中飛をフェンスに激突しながら好捕する東筑・阿部
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 大飛球に背走したセンターが跳んだ。フェンス目前、半身で打球を見る。必死にグラブを出した。激突したフェンスに跳ね返され、グラウンドに落下。白球は-グラブの中にあった。

 「あの球際で捕っちゃうのは、何か持ってるってこと」。甲子園のバックネット裏で、ソフトバンクの荒金久雄スカウト(39)がうなっていた。PL学園高、青学大を経てダイエー、ソフトバンク、オリックスで通算389試合に出場した外野のバイプレーヤー。そのプレーに一瞬、仕事を離れ「ちょっと自分を重ねちゃった」とも言った。

 今大会屈指のプレーに数えられるはずだ。8日の1回戦、済美(愛媛)-東筑(福岡)。敗れた東筑の中堅手・阿部泰晟(2年)が見せた美技だった。3回、ミスが重なって2点目を奪われ、なお1死二塁のピンチ。阿部が「これ以上、点差がつくと逆転は無理」と感じていた局面だった。

 「落下点、多少は分かってました」。ただ「打球から目を切らないと絶対、間に合わないと思った」。21年ぶり出場の東筑ナインが甲子園に慣れているはずもない。「フェンスまでどのくらいか分からなかった」。やるしかない。「ぶつかってでも」。捕球前後の記憶は断片的という。さらなる失点を阻んでこの回終了。直後の4回、チームは4連打で一時逆転した。

 背番号8を着け、1番中堅での出場。もっとも調子を落としていた福岡大会では背番号17、スタメンは決勝だけだった。「背走が下手とか、守備範囲が狭いとか、先輩から怒られてばかりだった」というから驚く。「打球から目を離す勇気がなかったんです。イチかバチかでやってみて。それが良かった」。究極の場面での賭けが吉と出た。

 東筑が前回出場した1996年。PL学園のセンターを守っていたのが、荒金スカウトだった。1回戦の旭川工(北北海道)戦。中越えの大飛球に背走した。「プロだったら、足を出すとか考えそうなもんだけど、もう必死でね…」

 跳んでフェンス寸前で捕球したが、当時は緩衝材がなかった箇所に激突した。その場でうずくまり、本当は禁止ながら、中村順司監督もグラウンドに出てきたほど。やはり、捕球した際の記憶はあやふやという。4-0の勝利に貢献したが、翌日は体を動かせず治療。ぶつかった箇所に、その後、クッションが施されるきっかけにもなった。

 「彼(阿部)は何年生? ここであのプレーが出るってことは、運も持っている。これからどうなっていくか」。関東担当の荒金スカウトにとって、東筑は基本的に守備範囲外ながら、興味が増えたようだ。プロ注目という存在ではなくとも、プロを楽しみにさせる、そんなプレーだった。


=2017/08/11 西日本スポーツ=

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