舞台裏観戦ツアー

2012年9月20日 カテゴリー:
通常は無観客で行われるミッドナイト競輪を特別に観戦する参加者
ゴール直後に着順確定作業で慌ただしく動く審判室

 日本が生んだ世界に誇れるスポーツ“競輪”。1948年に小倉で誕生して64年の歳月が過ぎ、当初とはレース形態やルールなども大きく変化。さらに売り上げ減少、ファン離れと今や深刻な状況だ。ただ、競輪発祥の地として頑張る小倉競輪は、さまざまな取り組みを行い、昨年1月からミッドナイト競輪を実施。ミッドナイト競輪は通常無観客で行われるが、その裏側を一般公開した画期的な企画の観戦ツアーに同行取材を試みた。 (森田祐樹)

 ◆ファンの声実現

 無観客で行われるミッドナイト競輪。しかし「どんな状況で行われているのか、ぜひ生で見てみたい」というファンの声を実現しようと、小倉競輪では20回の節目開催となった8月25日に「舞台裏観戦ツアー」を企画した。観戦希望者は全国各地から108人。予想を大きく上回る人数だったが、抽選で12組20人を選んだ。当選者の中には、東京や名古屋からの参加者も。当日は杉山義徳(58期)と松尾透(96期)がツアーに加わり、競輪場の裏側だけではなく、競輪選手の裏話などで盛り上げてくれた。

 選手が自転車を組み立てたり、検査をする「検車場」という場所でまずはギアの説明。競輪の出走表には3・71や3・85などの数字が記載されているが、それは前ギアと後ろギアの比率のこと。例えば4・00ならクランクが1回転する間にタイヤが4回転するのだそうだ。検車場では選手が使用するカラフルな自転車が天井につり下げられており「すごーい。きれーい」と歓声が上がった。私たちが普段使用する自転車の重さは約20キロ。その半分以下の約9キロの自転車にもビックリ。さらに自転車では世界一の価格となる1本1万円のタイヤを使用する事にもみんなビックリ。

 レースを公正安全に行う審判室では、参加者の表情が一変。これまではお祭りムード?だったものが、レース中の約2分半の間は沈黙。レース後の素早い判定などで「会話もすることができず、息が詰まりそうだった」との声も。普段はあまり意識していない競輪の裏側と緊迫した空間を体験した。

 ◆「ハマりました」

 その後、午後9時17分に第1レースが始まり、1着当てゲームなどでまたまたお祭りムードに。

 今回のツアーに参加した最年少の武吉玲さん(22歳・男性)は「インターネットでたまたま見て競輪っておもしろいなと思い、すぐハマりました。いい経験ができたし、もっと若い人が興味を持つように、直接肌で感じられるこういう機会を増やしてほしい」。

 会社員の常盤剛さん(41歳・男性)は「今は大人の社会科見学といった工場見学ツアーが人気。童心に帰ってわくわく感も味わえるし、普段は見られない部分を見られるというのは素晴らしい。競輪発祥の小倉が先駆者として頑張っているので、これからも応援したい」と大絶賛。

 ツアーの最後には優勝した前田義和(鹿児島・94期)との記念撮影を行い、直前までレースが開催されていたバンクでは、残り1周半になると鳴らされるジャンと呼ばれる鐘をたたいたり、コーナー審判台に上がったり、レースのスタート時に鳴らされるピストルを鳴らしたりして真夜中の競輪場を楽しんだ。

 ◆ガールズも検討

 財団法人日本自転車競技会西日本地区本部の井手和孝運営事務局長は「これからも競輪発祥の地・小倉として、いろんな事に取り組んでいきたい。できることならミッドナイトのガールズケイリンも実施したい」と今後もいろいろな企画を考えている様子。

 いきなり売り上げが急増するとは思えないが、いろいろな企画で競輪の面白さを知ってもらう努力は必要。今回、この企画に参加した人たちは「みんなに自慢したい」と帰路へ。自分も日ごろの競輪取材とは違う雰囲気を味わい、“熱い競輪ファンがいる”ということも実感した。

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