地元遺産へ誘う

人との距離感

河津由紀子
茶の間では、近所の人から手作りの差し入れが並んでいた。
わらじのように大きな芋の天ぷらを、差し出される。
「揚げたてがおいしいから、ほらたくさん食べて」「1個で腹一杯になろうが」。
どっと笑いが起きた。

熊本県大津町の国指定重要文化財・江藤家住宅での取材のこと。
江藤家のご夫婦と地域の人と、掘りごたつで足をたまにぶつけながらお茶をすすって、ふと思った。
初対面の人と、こういう近さで交流したのはいつぶりだろう、と。
初めてかもしれない。しかも心地いい。
いつも私が人と無意識に取っている距離は、必要以上に遠いのかもしれない。

(河津由紀子)

写真特集

写真一覧へ

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]