地元遺産へ誘う

「遺産」とは何か

野村大輔記者
 「遺産」とは何だろう。九州各地の「推し遺産」を取材しながら考えた。
佐賀・嬉野の秘宝館は、(とても残念だが)写真を紙面に載せづらい施設だった。北海道大の妙木先生は社会学の立場から秘宝館の価値を読み解き、過去の論文を送ってくれた。鹿児島・内之浦の長坪退避室は一見すると廃虚だが、建築士の小林さんは建築的価値を切々と語ってくれた。

世界にはたくさんの遺産がある。例えば、中国・始皇帝陵の兵馬俑(へいばよう)。昨夏、九州国立博物館(福岡県太宰府市)で間近に見た。中国の壮大な歴史を感じ、思わず息をのんだ。今になって、ふと思う。兵馬俑の魅力を語った研究者たちの熱いまなざしは、妙木先生や小林さんと変わらない。

身の回りの遺産を「世間遺産」と呼ぶ。秘宝館や長坪退避室もその類だ。世間遺産を後世に残したいという関係者の思いは、世界遺産や国史跡、国宝などを目指す人々に劣らない。

国連教育科学文化機関(ユネスコ)や国などのお墨付きがなくても、後世に残すべき遺産はある。そもそも遺産に優劣を付けることがナンセンスか。その価値に気づかず、紙面で紹介できていない遺産がたくさんあるに違いない。

(野村大輔)

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