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松橋事件

 1985年1月8日、熊本県松橋町(現宇城市)の民家で男性=当時(59)=が血を流して死亡しているのが見つかった。男性の将棋仲間だった男性が「刃物で刺した」と殺害を認めたため、県警が20日に逮捕。男性は公判途中から「自供の大部分は偽りだった」と否認に転じ無罪を主張したが、地裁は自白に任意性、信用性があると認め懲役13年の判決を言い渡した。二審福岡高裁も支持、90年の最高裁の上告棄却で確定。服役後、男性は99年に仮出所した。2012年3月、成年後見人の弁護士が再審請求。16年6月、熊本地裁は再審開始を決定した。

2017年11月29日更新

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松橋事件高裁も「再審」 即時抗告棄却「自白信用性揺らぐ」

 熊本県松橋(まつばせ)町(現宇城市)で1985年に男性=当時(59)=が刺殺された「松橋事件」の再審請求の即時抗告審で、福岡高裁は29日、殺人などの罪で服役した宮田浩喜さん(84)=熊本市=の再審開始を認めた昨年6月の熊本地裁決定を維持し、検察側の即時抗告を棄却した。確定判決は宮田さんの自白を唯一の直接証拠としていたが、山口雅高裁判長は弁護団提出の新証拠により「自白全体の信用性が大きく揺らいだ」と判断、「宮田さんが犯人ではない疑いが生じた」と結論付けた。

 検察側は決定に不服がある場合、最高裁に特別抗告ができる。武村二三夫弁護団共同代表は「宮田さんを支えた長男が亡くなり、宮田さん本人も高齢で体調が悪く、ぎりぎりの状態。検察側は特別抗告せず、一日も早く再審を開始してほしい」と語った。

 宮田さんは一審の公判途中から否認に転じたが、確定判決は「シャツから切り取った布を小刀に巻いて被害者の首を刺し、布は犯行後に燃やした」という捜査段階での自白を根拠に有罪認定していた。

 再審請求の過程で弁護団は、検察庁に保管されていた証拠物から燃やされたはずの「布片」を発見。被害者の傷痕と小刀の形状に一致しない部分があるとする鑑定書とともに、新証拠として提出した。山口裁判長は地裁と同様「燃やしたと供述していた布片が実際には存在したことになる。取り調べで捜査官に迎合して、事実に反する供述をしていた可能性が否定できない」と判断。「実際に巻かれたのは別物だった可能性がある」との検察側の反論を退けた。

 また小刀と傷痕の形状については「相当に矛盾している」と評価。小刀が殺害に使用されなかったのではないかという疑いを払拭(ふっしょく)できないとし、自白全体について「犯人とする理由の主要な部分が相当に疑わしくなった」と判断した。

 2012年、認知症の症状がある宮田さんに代わり成年後見人の弁護士が再審請求。15年9月には長男貴浩さんも請求人として加わったが、今年9月に病死した。


=2017/11/29付 西日本新聞夕刊=

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