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新国富指標

 長期的に持続可能な発展を計測するため、多様な資本を重視して開発された経済指標。具体的には(1)人工資本(インフラなど)(2)人的資本(人口、教育、健康など)(3)自然資本(気候変動、農地、森林、鉱物など)-を中心に、地域の資産全体を評価し数値化する。国内総生産(GDP)だけでは把握できない富や豊かさの測定手法として注目を集めている。2012年の「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)で、ノーベル経済学賞受賞者らが初めて発表。18年に発行される報告書の執筆は九州大の馬奈木俊介主幹教授が代表を務める。

2017年11月21日更新

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 福岡県久山町が、九州大都市研究センターと共同で、持続可能な成長を測る新経済指標「新国富指標」を活用したまちづくりに乗り出す。同指標は、国内総生産(GDP)では測れない自然や住民の健康なども資本として金額で客観的に評価する。町は「新国富」を増やしていくために、全世帯にアンケートを始めており、結果を基に新年度予算案に反映させる。同指標を活用して実際に予算化に向けて取り組む自治体は全国初という。

 アンケートでは、住民にあえて不利益な未来像を投げ掛け、豊かな町にするためには何に投資してほしいかを探る。たとえば「地域の公園が一つ減ってしまうとしたら」「町内唯一の公共交通機関であるバスの運行が半減したら」「子育て支援センターの開所日(利用可能日)が半分になってしまうとしたら」などと尋ね、「それを防ぐため、あなたの世帯は年間いくらまでなら払ってもいいですか」と問い掛けている。

 センターなどによると、福岡県内60市町村を新国富指標に当てはめて分析したところ、久山町の1人当たりの資産は3099万円で、県内トップだった。この結果を知った久山町がセンターにまちづくりでの協力を依頼した。ちなみに福岡市は2386万円で5位、北九州市は2068万円で16位だった。

 町は以前から経済効率性だけではなく、自然環境を維持し、教育や健康も柱にしたまちづくりを進めてきた。九大とは1961年以来、糖尿病などの生活習慣病の疫学調査を40歳以上の全町民に対して行い、発症や重症化の予防に役立てる「久山町研究」も共同で続けている。久芳菊司町長は「新指標で良い評価が出たのは長年の政策が間違いではなかったことの表れ。今後は九大の力を借りて、町の政策を進める判断に生かしたい」と話している。

 町はセンターが分析したアンケート結果を持続的な活性化につなげるため、「子育て支援策の充実」「公共交通の維持と利便性の向上」「健康のまちへの愛着を高める」といった、町が地方創生のための施策として掲げている事業の選択と集中に生かしていく方針。

 同センター長の馬奈木俊介主幹教授は「久山町の取り組みが地方創生の成功事例になり、他の自治体に波及する機会にしたい」と意気込んでいる。

【ワードBOX】新国富指標

 長期的に持続可能な発展を計測するため、多様な資本を重視して開発された経済指標。具体的には(1)人工資本(インフラなど)(2)人的資本(人口、教育、健康など)(3)自然資本(気候変動、農地、森林、鉱物など)-を中心に、地域の資産全体を評価し数値化する。国内総生産(GDP)だけでは把握できない富や豊かさの測定手法として注目を集めている。2012年の「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)で、ノーベル経済学賞受賞者らが初めて発表。18年に発行される報告書の執筆は九州大の馬奈木俊介主幹教授が代表を務める。

=2017/11/21付 西日本新聞朝刊=

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