
刑事裁判に市民感覚を反映させることを目的に2009年5月に始まった。有権者から無作為に選ばれた裁判員と裁判官が共同で審理する。裁判員6人と裁判官3人が原則。対象は最高刑が死刑または無期懲役か、故意に被害者を死亡させた事件で、有罪・無罪と量刑を判断する。
法令解釈などを除き裁判員は裁判官と同じ権限があり、法廷で被告や証人に質問できる。意見が分かれた場合は、裁判官1人以上を含む過半数の意見を採用する。
(2012年5月21日掲載)
刑事裁判への市民感覚反映を目的に、有権者から無作為に選ばれた裁判員と裁判官が共同で審理する。制度開始は2009年5月。最高刑が死刑または無期懲役か、故意に被害者を死亡させた事件が審理対象で、有罪、無罪と量刑を判断する。構成は裁判員6人と裁判官3人が原則。法令解釈などを除き、裁判員は裁判官と同じ権限があり、被告や証人にも質問できる。裁判員法は「施行後3年の経過時に検討を加え、必要があれば所要の措置を講じる」と規定している。
(2012年5月19日掲載)
刑事裁判への市民感覚反映を目的に、有権者から無作為に選ばれた裁判員と裁判官が共同で審理する。最高刑が死刑または無期懲役か、故意に被害者を死亡させた事件が裁判員裁判の審理対象で、有罪、無罪と量刑を判断する。構成は裁判員6人と裁判官3人が原則。法令解釈などを除き、裁判員は裁判官と同じ権限があり、被告や証人にも質問できる。最高裁によると、2009年5月の制度開始から今年3月末までに被告約3600人が判決を受けた。今月21日で裁判員法施行から丸3年となり、法が定める見直しの検討時期を迎える。
(2012年5月15日掲載)
有権者から無作為に選ばれた裁判員6人と裁判官3人が原則審理し、殺人など重大事件の被告が有罪かどうかを判断した上、有罪の場合は刑も決める。裁判員は裁判官と同じ権限で意見を述べ、被告人質問や証人尋問もできる。2001年6月に政府の司法制度審議会が改革の柱の一つとして導入を提言し、04年5月21日に裁判員法と裁判員裁判のための改正刑事訴訟法などが国会で成立。丸5年の準備期間を置いて施行された。憲法が保障する「公平な裁判所の裁判を受ける権利」などの侵害や被告の権利が損なわれるなどの理由から、根強い反対運動も続いている。
(2010年5月16日掲載)
有権者から無作為に選ばれた裁判員と裁判官が刑事事件を審理し、有罪かどうかを判断した上、有罪の場合は刑も決める制度。構成は裁判員6人と裁判官3人が原則。裁判員は裁判官と同じ権限で意見を述べ、証人尋問などもできる。対象は殺人、強盗致傷など最高刑が死刑か無期懲役の事件と、危険運転致死など故意の犯罪行為で被害者を死亡させた事件で、年3000件程度と想定されている。
(2009年4月21日掲載)
選挙人名簿から無作為に選ばれた「裁判員」が裁判官とともに殺人など重大事件の一審を審理し、有罪・無罪と有罪の場合は刑を決める。来年5月21日にスタートする。原則として裁判員6人、裁判官3人で審理する。全国の地裁本庁50カ所と小倉など支部10カ所で実施される。全国平均で約4000人に1人が裁判員となる見通し。
(2008年5月4日掲載)
有権者から無作為に選ばれた裁判員6人と裁判官3人が原則審理し、刑事事件の有罪・無罪を判断した上、有罪の場合は刑も決める制度。全国の地裁計60カ所(支部含む)で実施され、対象は殺人、強盗致傷、危険運転致死などの重大事件で、年間約3千件と想定されている。地裁ごとに選挙人名簿からくじで抽出した裁判員候補者の名簿を作成し、記載者には毎年11-12月に通知が届く。対象事件が起訴されると、名簿から50-100人をくじで選び、地裁に呼び出す。全国平均で約4千人に1人が裁判員となる見通し。裁判員には1日最高1万円が支給されるが、守秘義務なども課される。
(2008年4月8日掲載)
選挙人名簿から無作為に選ばれた「裁判員」が裁判官とともに殺人など重大事件の一審を審理し、有罪・無罪と有罪の場合は刑を決める。2009年5月までに導入される。原則として裁判員6人、裁判官3人で審理する。昨年起訴された対象事件数などで試算すると、裁判員になるのは年間約4160人に1人。
(2007年10月17日掲載)
選挙人名簿からくじで選ばれた20歳以上の市民が、裁判員となり、裁判官と一緒に刑事裁判を審理する制度。参加は国民の義務とされ、病気など以外は辞退できない。殺人や放火、危険運転致死罪などの重大犯罪が対象。
原則として裁判官3人と裁判員6人が多数決で有罪、無罪を判断し、有罪の場合は量刑を決める。2009年5月までに導入予定で、1年間に裁判員に選ばれるのは有権者約3500人に1人と想定されている。
(2007年7月25日掲載)
20歳以上の一般市民から無作為に選ばれた裁判員が裁判官と一緒に刑事事件を審理し、有罪、無罪の判断や、量刑を決める制度。2009年5月までに導入される。一般の市民感覚や常識を裁判に反映させるのが目的。対象は、殺人や放火、危険運転致死などで、原則として3人の裁判官と6人の裁判員で審理を進める。1年間で、3500人に1人が裁判員になると想定されている。内閣府の世論調査では参加に消極的意見が8割を占めており、市民の不安や負担感をどうぬぐい去るかが課題となっている。
(2007年5月28日掲載)
選挙人名簿から選ばれた20歳以上の市民が「裁判員」として、裁判官と一緒に刑事裁判を審理する制度。2009年5月までに導入される。1年間で有権者約3500人に1人が裁判員になると想定されている。参加は国民の義務とされ、病気など「やむを得ない事由」以外は辞退できない。対象は「死刑または無期懲役・禁固刑が定められている罪」「故意に被害者を死亡させた罪」で殺人や放火、危険運転致死など。原則として裁判官3人、裁判員6人で、多数決で有罪・無罪を判断、有罪の場合は量刑を決める。(共同)
(2007年2月2日掲載)
選挙人名簿から選ばれた市民が「裁判員」として、プロの裁判官と一緒に刑事裁判の一審審理を担当する制度。2009年5月までに導入される。対象は「死刑または無期懲役・禁固刑が定められている罪」「故意に被害者を死亡させた罪」で、殺人や放火、危険運転致死などがこれに当たる。原則として裁判官3人、裁判員6人で審理し、裁判官1人以上を含む多数意見で有罪か無罪かを決め、量刑も判断する。
(2006年11月21日掲載)
有権者の中から無差別に選ばれた裁判員が、殺人事件など重大事件の刑事裁判に出席して裁判官とともに有罪か無罪かを判断する制度。国民の司法参加を促すことが目的で、2009年5月までにスタートする。
(2006年10月6日掲載)
(1)死刑または無期懲役・禁固刑が定められている罪(2)故意に被害者を死亡させた罪―を対象に、原則として裁判官3人、市民から選ばれた裁判員6人が有罪、無罪を判断し、量刑も決める。殺人、強盗殺人、強盗強姦(ごうかん)、現住建造物等放火、危険運転致死などがこれに当たる。裁判員の負担を軽減するためには迅速な審理が必要で、2009年の導入を前に昨年11月の改正刑事訴訟法施行で、初公判前に争点と証拠を整理する「公判前整理手続き」が始まった。
(2006年5月9日掲載)
一般市民から無作為に選ばれた裁判員が裁判官とともに殺人など重大事件の刑事裁判に参加し、有罪・無罪の判断や量刑を決める制度。一般人の常識を裁判に反映させることなどが目的。昨年5月に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(裁判員法)が施行され2009年5月までにスタートする。
(2006年1月7日掲載)
市民から無作為に選んだ裁判員が裁判官とともに殺人などの刑事裁判に参加し、有罪か無罪かを判断する。判決に市民の常識を反映させることなどが目的。昨年5月に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が施行され、2009年5月までに実施される。
(2005年10月7日掲載)
一般市民から無作為に選ばれた裁判員が、裁判官とともに殺人や傷害致死などの重大事件の刑事裁判に参加し、有罪・無罪の判断や量刑を決める制度。裁判を身近なものにすることや、一般人の常識を裁判に反映させ、司法に対する理解と信頼を深めることを目的とする。昨年5月に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(裁判員法)が施行され、2009年5月までにスタートすることになっている。
(2005年10月2日掲載)
法廷に市民の感覚、常識を反映させることを目的に、くじで選ばれた20歳以上の市民が裁判員として刑事裁判の審理に参加し、裁判官と話し合って有罪・無罪、量刑を決める制度。司法制度改革の一環として、2009年5月までにスタートする。 殺人、放火、強姦罪など重大事件が対象で、原則として裁判官3人、裁判員6人で構成する。高齢、在学中、病気など一定の理由があるときは辞退できる。裁判員の負担軽減のため連日開廷を目指し、多くの事件の審理は数日間で終結する見込みとされる。裁判員制度対象事件は03年の統計では全国で約3000件。
(2005年4月17日掲載)
20歳以上の国民からくじで選ばれた裁判員6人と職業裁判官3人が一緒に刑事事件を審理する。昨年5月に法成立。2009年に導入される。殺人や放火、強姦(ごうかん)、危険運転致死罪などの重大事件が対象。裁判員は法廷で証拠を検討して裁判官と評議し、多数決で有罪・無罪、量刑を決める。高齢、病気、介護など一定の理由がある場合は辞退できるが、基本的には国民の義務。裁判所と検察官、弁護士は裁判員の負担を軽減するため連日開廷を目指し、数日間で判決を出せるようにする。
(2005年2月27日掲載)
法廷に国民の常識を反映させようと、刑事裁判に国民が参加する裁判員法案は今年5月に成立した。裁判員は原則6人で、殺人や放火、強姦(ごうかん)、危険運転致死罪などの重大事件が対象。法廷で証拠を検討して3人の裁判官と協議(評議)し、有罪・無罪、量刑を決める。20歳以上の国民からくじで候補者を選び、その中からさらに、事件ごとに補充員を含めたメンバーを決める。高齢、病気など一定の理由がある場合は辞退できる。「思想、信条」を理由とした辞退も裁判所が認めれば可能。初公判前に裁判所と検察官、弁護士が争点を整理。連日開廷を目指し、法務省は「多くの事件では数日間で判決を出し、裁判員の負担を軽減する」としている。
(2004年10月6日掲載)
くじで選ばれた市民の「裁判員」が職業裁判官と一緒に地裁で刑事裁判を審理する。原則として裁判官3人、裁判員6人で行い、双方の賛成者を含む多数決で有罪・無罪を決め、量刑も判断する。病気や子育てに忙しい人らは辞退できるが、参加は基本的に国民の義務。公務員扱いとなり、職務上知り得た秘密には罰則付き守秘義務が課される。公判前に検察側が弁護側に証拠を開示するなど争点を明確化する制度も導入され、裁判員就任時点で裁判に要する日数が分かる。
(2004年4月23日掲載)
無作為にくじで選ばれた20歳以上の市民の「裁判員」が職業裁判官と一緒に殺人など重大事件の刑事裁判を審理する制度。裁判員への参加は「国民の義務」と位置付けられる。審理は、原則として裁判官3人、裁判員6人の合議体で行われ、評議による多数決で有罪・無罪を決め、量刑も判断する。任期は1つの裁判に限られ、職務上知り得た秘密に守秘義務が課せられる。法案成立後5年以内に制度がスタートする。
(2004年4月21日掲載)
市民が刑事裁判の審理に参加し裁判官と話し合って有罪、無罪を判断し、有罪の場合は量刑を決める制度。政府検討会案では、殺人、放火罪などの凶悪事件が対象。裁判員は選挙人名簿から無作為に選ばれる。
(2004年1月24日掲載)
地域経済の活性化と地域雇用の創出を進めるためのアイデア。政府の地域再生本部(本部長・小泉純一郎首相)が昨年12月19日から今年1月15日までの間、地方自治体や企業などに提案を募っていた。政府は、今回寄せられた673の構想について有効性や実現策などを検討。国の支援策をまとめた地域再生推進プログラムを2月下旬に策定し、通常国会に関連法の改正案を提出。6月には地域再生計画区域に自治体を認定して、支援策を集中させる。この取り組みは、小泉改革に対して「地方軽視」との批判もあることから発案された。
(2004年1月22日掲載)
司法への国民参加を目指し、政府の司法制度改革審議会が2001年6月の意見書で提言。02年3月に閣議決定された。無作為にくじで選ばれた市民の「裁判員」が職業裁判官と一緒に刑事裁判の審理を進め、有罪・無罪を判断。有罪の場合には量刑も決める。日本独自の制度で、任期は一つの裁判に限られる。政府の司法制度改革推進本部が、刑事裁判の迅速化を進める改革案と組み合わせて制度づくりを進めており、来年の通常国会に法案を提出する方針。
(2003年10月29日掲載)
選挙人名簿から無作為に選ばれて「裁判員」となり、刑事裁判の審理に参加。裁判官とともに有罪、無罪を判断し、量刑も決める制度。裁判官・裁判員の人数構成をめぐっては、法務・検察側は「裁判員の人数を多くすると内容の濃い議論ができない」として同数程度が適当と主張。日弁連などは「裁判員がプロと同数程度では主体的関与は困難になる」として「裁判員は裁判官の3倍以上に」と主張しており、結論は出ていない。政府は関連法案を来年の通常国会に提出する方針。
(2003年9月17日掲載)
一般市民から選ばれた陪審員が証拠に基づき事実関係を審理し「有罪」か「無罪」を評決し、その上で職業裁判官が法律的判断をするのが「陪審制」で、参審員と裁判官が共同して事実認定と法律判断をするのが「参審制」。陪審員が裁判官から独立して評決する陪審制と異なり、参審制は参審員と裁判官が終始一体となり裁判に当たる。英米は陪審制、ドイツ、フランスは参審制。日本の裁判員制度は市民から選ばれた裁判員が裁判官と一緒に審理し量刑の評決権を持つ参審制型の刑事裁判システム。
(2003年5月16日掲載)
市民から選ばれた「裁判員」が、裁判官と一緒に審理し量刑の評決権も持つ、わが国独自の新たな制度。国民参加の司法の実現に向け、政府の司法制度改革審議会が刑事裁判への導入を提言。法廷を構成する裁判官と裁判員の数など具体化への検討が進められている。 既に欧米などで導入されている市民による司法参加の制度としては、裁判官と市民が事実認定と法律判断を共同で行う「参審制」と、市民が事実認定をして裁判官が法律判断を行うという役割分担を設けた「陪審制」がある。
(2003年3月12日掲載)
(2012年5月21日掲載)
市民が刑事裁判に参加する裁判員制度が始まって21日で3年になる。これまでに全国で約2万人が裁判員を務め、3千人以上に判決が言い渡された。14人が死刑判決を受け、無罪や一部無罪は28人。判決を高裁が覆す例も増えている。極刑の選択や全面否認事件も増え、審理は長期化し裁判員の負担は増している。裁判員法は施行3年を見直しの時期と定めており、具体的な議論が始まる。
最高裁によると、3月末までに裁判員裁判で判決を受けたのは3601人。2万817人が裁判員となり、7257人が補充裁判員を務めた。
最高検によると、4月までに死刑判決を受けたのは首都圏連続不審死事件など14人(2人は確定)。全面無罪は、死刑が求刑されていた鹿児島市の高齢夫婦殺害事件など18人。うち8人は覚せい剤密輸事件の被告だ。
だが8人中3人は控訴審で逆転有罪となった。千葉地裁が無罪、東京高裁が逆転有罪とした事件で最高裁は2月「事実認定がよほど不合理でない限り一審を尊重すべきだ」と再び無罪とした。控訴審の役割に初判断が示されたことで、今後の高裁の判決が注目される。
裁判員裁判の平均開廷回数は、2009年の3・3回から12年は4・6回になった。首都圏連続不審死事件では裁判員の在任期間が最長の100日となり議論を呼んだ。
九州の8地裁・支部では3月末までに470人が起訴され374人が判決を受けた。判決の地検別内訳は福岡146人▽同小倉支部40人▽佐賀18人▽長崎26人▽熊本37人▽大分32人▽宮崎21人▽鹿児島54人。罪名で多いのは殺人、強盗致傷、強姦致死傷‐の順。
死刑判決は、宮崎市で家族3人を殺害した事件と熊本県内で女性2人を殺害した事件の2人。ともに福岡高裁が死刑を支持、弁護側は上告中だ。全面無罪は鹿児島市の高齢夫婦殺害事件のみで、一部無罪は福岡地裁での放火事件と長崎地裁での強制わいせつ致傷事件。
裁判員裁判を覆す高裁判決は10年から相次ぎ、今年3月末までに11件。福岡地裁小倉支部は10年、殺人罪に問われた暴力団幹部の裁判で、裁判員に危害が及ぶ恐れがあるとして全国で唯一、裁判官だけで裁いた。
(2012年5月19日掲載)
裁判員裁判の対象事件で一審判決が控訴審で破棄される割合が、裁判員制度導入後は大幅に下がったことが18日、最高裁のまとめで分かった。制度施行で一審判断を尊重する流れが強まった傾向がデータでも裏付けられた形だ。また刑の執行を猶予する判決で、保護司らが指導、監督をする保護観察が付けられた被告の割合は制度施行前の2倍近くになっていた。
2006~08年の裁判官だけの判決と、09年5月から今年3月までの裁判員裁判判決を比較。制度施行から21日で丸3年になるのを前に、最高裁が制度の運用に関する有識者懇談会で報告した。
懇談会では「裁判員裁判の審理がうまくいっている」と破棄率減少を評価する声があった一方、「具体的な事件内容も検討する必要がある」との慎重な見方も出た。保護観察率の上昇は「裁判員裁判では社会での改善、更生が重視されているためではないか」との見解が示されたという。
破棄は、対象事件のうち殺人や傷害致死など15罪を調べた。裁判官判決は2455人中17・6%の431人が破棄されていたが、裁判員判決では758人で6・7%の51人にとどまった。主な破棄理由(事実誤認、量刑不当、一審判決後の情状)全てで減少し、特に量刑不当は4・5ポイント下がり、0・8%だった。
ただ一審での無罪が多い覚せい剤取締法違反は調査対象の罪に含まれていない。
08年11月に最高裁司法研修所が公表した研究結果は、裁判員裁判の控訴審の在り方を、事実誤認、量刑不当のいずれの点も「よほど不合理でなければ一審の判断を尊重するべきだ」と指摘。今年2月の最高裁判決は、控訴審で事実誤認を理由に一審の無罪を破棄する場合に関し、同様の判断を示している。
裁判員裁判で執行猶予付きの判決を受けた575人のうち、保護観察に付されたのは55・1%の317人。制度施行前は997人のうち30・6%の305人だった。
●守秘義務 負担重く 「家族にも話せずつらい」
裁判員法は、裁判員や補充裁判員を務めた人にも守秘義務を定め、評議での意見内容や多数決の結果を漏らしたり、判決の事実認定や量刑について当否を述べたりした場合は懲役6月以下か50万円以下の罰金、評議の経過などを漏らせば罰金50万円とする罰則がある。
最高裁によると適用ケースはないが、話してもいいとされる感想との線引きが難しい上、制度の一層の定着や経験者の心理的負担を軽くするために、ある程度緩和すべきだとの声は根強い。
日弁連は昨年6月に改正を提言。「重い負担を長期間強いるもので、裁判員経験者が罰則を恐れて正当な意見表明さえためらい、体験の広い共有が妨げられる」と指摘。評議での意見は、個人が特定できる形で漏らす行為だけを罰則対象とし、量刑などに関する表明行為の禁止も10年間に限るよう求めている。
経験者はどう思っているのか。仙台地裁で裁判員を務めた社会福祉士の女性(37)は「仕事にも守秘義務はあるし、違和感はない」と肯定的だが、抵抗感のある人も。
宮崎市の家族3人殺害事件で死刑判決に関わった40代の男性会社員は「もう少し緩やかにしてほしい。家族にも話せないのはつらい」と打ち明ける。「ほかの裁判員がどこの誰かは知らない。特定の恐れはなく、話してもいいのでは」と指摘している。
× ×
●見直し 長期的視点で議論を 大出良知・九大名誉教授に聞く
裁判員制度は順調に運営されており、すぐに大きく改めるべき点があるとは考えていない。検察側による証拠開示のさらなる拡大、裁判員に課せられた守秘義務の範囲の明確化、審理の分かりやすさの向上、評議の内容が適正かどうかの検証など課題はあるが、もう少し長期的な視点で議論する必要がある。
裁判員の負担という点では、在任期間が100日に上った首都圏の連続不審死事件が話題になったが、裁判員は最後まで交代せず、判決後の記者会見でも批判は聞かれなかった。国民の対応力の高さが示されたといえるのではないか。
死刑判断への関与が重いテーマであることは間違いない。ただ国民が直接、裁判で死刑の是非と向き合うようになったことで、死刑制度が妥当なのかを自らの問題として考えるきっかけになった。その点が重要だ。
被害者保護の観点から性犯罪を対象事件から外すべきとの見解もある。一方、以前より量刑が重くなっている傾向は、性犯罪を重大、深刻と捉えている国民意識の表れだ。その認識をさらに広げていくためにも、被害者保護に十分配慮した上で、今後も裁判員裁判で審理すべきだと考える。
裁判員制度の導入は、捜査を含めた刑事手続き全般に大きな風穴をあけた。国民が判断する前提として、捜査側が手持ちの証拠を開示するのがフェアだという流れが強まり、密室で作った供述調書ではなく法廷で話す内容が重視されるようにもなった。無罪推定の原則も実質化しつつある。施行から3年。国民が主権者として刑事裁判を担うようになった大きな意義をあらためて考える契機にする必要がある。
× × ×
▼おおで・よしとも 東京経済大教授。九州大名誉教授。専攻は刑事法。政府の司法制度改革推進本部に設けられた「裁判員制度・刑事検討会」の元メンバー。
(2012年5月15日掲載)
最高裁は14日、裁判員制度が始まった2009年5月から今年3月末までの裁判員裁判の結果について、裁判官だけで対象事件を審理した06~08年との比較データを公表した。公訴棄却などを除き、有罪か無罪かの判断が示された計3601人中、全面無罪は約0・5%の17人。比率は施行前の約0・6%からわずかに減少した。
無罪とされたのは、328人に判決が言い渡された覚せい剤取締法違反罪が最も多く7人で、無罪率は約2・1%。06~08年の約0・6%の3倍以上になった。
判決が最多の838人だった強盗致傷罪は無罪が1人で、無罪率は約0・2%から約0・1%に低下。殺人罪も820人中、無罪は4人にとどまり、約0・8%から約0・5%に下がった。
06~08年の無罪率が約1・2%と最も高かった現住建造物等放火罪は329人中、無罪が1人もいなかった。
一方、裁判員裁判の対象事件について、08年度から今年3月末までに出された有罪判決の量刑動向を裁判官だけの裁判と裁判員裁判で比較した結果も併せて公表。
裁判員裁判では、制度導入で顕著になった性犯罪や傷害致死罪の厳罰化傾向が続く一方、殺人や殺人未遂、強盗致傷などでは裁判官だけの審理より執行猶予付き判決の割合が高かった。
強姦(ごうかん)致傷罪と傷害致死罪は裁判官だけの審理で「懲役3年超5年以下」の割合が最も高く、それぞれ約35・8%、約39・1%。しかし裁判員裁判では約17・6%、約20・8%と半分程度で、それより重い刑の適用が多かった。
最高裁刑事局は無罪率や量刑動向の変化について「制度導入による影響と言えるかどうかは評価が難しい」としている。



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