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農産物輸出は構造改革につながりましたか【衆院選「選択」③】

2021/10/24 7:13 (2021/10/27 9:43 更新)

〈世界狙う農産物に明暗、「1兆円超え」視野も…〉

有明海に面する熊本県玉名市横島町。ここでイチゴを栽培する農業法人「イチゴラス」のハウスで10月中旬、社長の森川竜典さん(34)らが苗から古い葉を取り除く「葉かき」に汗を流していた。冬から始まる出荷に向け、実へ養分を行き渡らせ、病害を防ぐ作業だ。1株ずつ丁寧に手を入れながら、森川さんは「日本の農産物の味と品質は世界で勝てる」と力を込めた。

イチゴラスが主に栽培するのは1パック2千~3千円の高級白イチゴ「淡雪」。2015年に輸出を始め、香港やタイ、シンガポール、米国やアラブ首長国連邦(UAE)などに販路を広げる。「国内は人口減で先細り。富裕層の市場を開拓するため、海外に打って出た」(森川さん)。

昨シーズンは収穫した約30トンのうち10トンを輸出。新型コロナウイルス禍で国内向けは前年比4割減となったが、輸出は米国での引き合いが強く、2倍に増えた。森川さんは「もし輸出がなかったら…と思うとぞっとする」と話す。

政府は食品も含めた農林水産物の輸出額を30年に5兆円に引き上げる目標を掲げる。菅義偉前首相が、官房長官時代から注力した政策だ。今年上半期(1~6月)は、前年同期比30%増の5407億円と過去最高。年間で初の1兆円超えが視野に入る。

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31日に投開票される4年ぶりの衆院選。西日本新聞では、歴代最長で「1強政治」と言われた安倍政権から、菅・岸田政権までの間、私たちの暮らしや地域がどう変わったのかを見つめる連載「選択」を掲載中です。みなさんのご意見も募集します。

【あなたの特命取材班から】

農林水産省は今年7月、「輸出・国際局」を設置しました。農林水産物・食品の輸出目標である「2025年2兆円、30年5兆円」の達成を目指しているからです。輸出する重点品目と産地、品目団体を明確にし、輸出先も絞り込んで確実に輸出量を増やす戦略(農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略)です。輸出先国との協議などを政府が進めやすくする輸出促進法も20年4月に施行されています。

一方で、担い手の減少や高齢化、耕作放棄地の増加、食料自給率や国内のコメ需要の低迷など、農業・農村を巡る構造的な問題は残されたままです。コメなどの穀物に限らず、野菜や果実、畜産物などを国内市場に安定的に供給する役割を担いながら、一定規模の農産物・食品を海外に供給するという輸出戦略も両立させていくには、産地、自治体、JA、流通業者、政府などの関係機関が一体となって取り組む必要がありそうです。

皆さんは、政府の農産物輸出戦略について、どのような感想をお持ちですか。以下のコメント欄にご意見をお寄せ下さい。※コメント欄が表示されない方は、こちらのリンクをクリックしてください

寄稿者:西日本新聞

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