調べてほしい
くらし

愛用のレントゲン手帳、運用停止なぜ?

2022/03/07 12:00 (2022/05/12 9:57 更新)

投稿】神奈川県のある病院で、「レントゲン手帳」なるものを渡されて以来、病院で検診を受けるたびに被ばく線量の記録を付けてもらってきました。今の手帳が終わり、新しい冊子をもらおうと、発行元の日本診療放射線技師会のホームページを見ると、「運用停止」となっておりました。自分の被ばく記録を残すのに、これほど良いものがなくなるのは、とても残念です。理由を調べてもらえないでしょうか。

あなたの特命取材班から

日本診療放射線技師会に問い合わせ、同会と福岡県診療放射線技師会から回答がありました。

両会によると、手帳の運用開始は2007年から。複数の医療機関で検査を受けるなどした場合、医療被ばく線量の記録はもちろん、各医療機関の放射線技師が患者に対し、その影響や検査、治療内容などを説明したり、相談を受けたりするツールとして運用されてきたそうです。「お薬手帳」にも近いです。

このレントゲン手帳は2021年10月末、運用停止となりました。その理由は大きく分けて二つのようです。

一つ目は、手帳の普及が進まなかったためです。医療機関へ配布した冊子数は約1万冊(対象は全国で約170施設、見本約4100冊を含む)にとどまりました。希望する医療機関へ配布していましたが、その周知や運用方法の社会的な理解が十分とは言えず、「利用機関が非常に少ない状況が続いた」としています。ある病院で被ばく線量の記載を推進しても、別の施設では対応できないケースなどが生じていたそうです。

二つ目は、医療機関で診療放射線をより適正に管理していく必要があるとして、厚生労働省は2020年4月、医療法施行規則を改正したことです。これにより、医療機関はコンピューター断層撮影(CT)診療などの一部装置で、被ばく線量の管理と記録が義務付けられました。データを積み重ねることで、必要性が低い解像度での検査を再点検していくなど、診療を「適正化」する狙いがあったそうです。日本診療放射線技師会は、この改正を「手帳の役割を終えたと判断した」理由に挙げています。

一方で厚生労働省によると、施行規則には患者への情報開示義務まで明記されていません。患者が開示を求めた場合は、各医療機関が判断するとのことです。

レントゲン手帳の意義や課題は何だったのでしょうか。多忙な医師に代わり、手帳を使いながら放射線技師が検査や治療、被ばく線量について説明する役割を一部で担うことができたそうです。「診療放射線への漠然とした不安」を解消する意義がありました。一方で「個々の検査の被ばく線量を記載していくことについて、業界として深く議論できなかった点もあった」と、普及について課題を挙げています。

レントゲン手帳の再開については「検討しておりません」と同会。一方で、一定期間に複数の医療機関で検査を受ける場合など、トータルでどれぐらいの線量だったのかを把握する必要性は医療関係者の中でも認識されています。被ばく線量に限らず、個人の治療データをどのように管理し、適正な治療につなげていくのか。引き続き重要な課題となっています。(竹次稔)

寄稿者:神奈川県在住

PR

PR