<10>洗ったり写真撮ったり 左胸をいたわり、感謝

検診結果に安心しました
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 間もなく8月。乳がんの告知を受けて1年になります。経過は順調。先日受けた腫瘍マーカーと血液検査は異常なし。「100点満点です」。主治医から褒められました。うれしい。

 さて、今回は「左胸との最期」の時間について。

 手術日が10月29日と決まり、改めて左胸のことを考えるようになりました。未練ではありません。いたわりというか、感謝というか、そんなものでした。

 思えば、いいかげんな“所有者”でした。お風呂上りにクリームでたっぷり保湿してあげることもなかったし、かわいい下着で着飾ってあげたこともなかった。

 罪滅ぼしのつもりで購入したのが、3千円の炭酸泡の洗顔フォーム。ふわふわの泡で胸を包み込み、汚れをやさしく洗い落としてあげました。手術前の1カ月だけでしたが、心なしか肌の透明感が増し、若返った気がしました。

 胸の写真も撮りました。誰かに撮ってもらうのもなかなか難しいので、自撮り棒を使って自分で撮影しました。20枚ほど写真データが残っています。じっくり眺めるほど美しいものではありませんが、記録に残してあげることが重要な気がしました。

 入院前夜には家の周りを歩きながら、胸の思い出に浸りました。人より膨らむのが遅かったなあとか、母乳は良く出たなあ…とか。

 ふと思い立って電話した相手が警察官時代の同期の女性。学校の寮で毎日一緒にお風呂に入った間柄です。乳がんのこと、全摘のことを打ち明けると「大丈夫。えみの胸のこと、私はちゃんと覚えているよ。小さかったよね」と懐かしんでくれました。

 大きさの話は余計ですが、懐かしんでくれてありがたかったです。

<続き>「まな板のコイ」の覚悟で手術前夜もぐっすり

(四十物恵妙=西日本新聞契約ライター)


 2017/07/31付 西日本新聞朝刊

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