<11>「まな板のコイ」の覚悟で手術前夜もぐっすり

手術前夜の夕食も完食しました
手術前夜の夕食も完食しました
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 乳房の全摘と再建を同時に行う手術の2日前、入院しました。夫の仕事の調整がつかず、一人で病院に乗り込みました。スーツケースの中は日用品やパジャマと、娘が「寂しいでしょ」と持たせてくれたカッパの縫いぐるみ二つ。あとは本が5、6冊です。

 病室はトイレ付きの1泊約4千円の個室にしました。加入していたがん保険の入院給付金(1日1万円)で賄えることが分かったからです。何も悪いことをしていないのに左胸を失ってしまうのだから、神様もこれくらいのぜいたくは許してくれると思いました。

 入院生活は快適でした。「何でも相談してくださいね」と声を掛けてくれる優しい看護師さんがいて、病院食も私の料理の15倍くらいおいしかった。

 「えっ、こんな気遣いまで」と驚いたのが、手術室に流す音楽を選べたこと。全身麻酔なので意味がない気もしますが、麻酔が効くまでの数分間でも好きな音楽でリラックスさせてあげようという配慮のようでした。「矢沢永吉の曲をリクエストした方もいましたよ」と看護師さん。

 あれこれ思い浮かべてみたのですが、失恋に合う曲はすぐ出てきても、手術に合う曲なんて考えたことがありません。選択に窮し「何でもいいです」と答えてしまいました。今度聞かれたら(そんな事態はない方がいいですが)、ドリームズカムトゥルーの景気のいい曲を選ぶつもりです。

 そんな感じで心ゆったり過ごせたおかげか、手術前夜も不安や落ち込みはほとんどなく、処方された睡眠導入剤でよく眠れました。「入院したら、お医者さんに任せるしかない」という乳がん仲間からの励ましメールもあり、「まな板のコイ」を決め込む覚悟ができたのも良かったようです。

<続き>術後の胸と初対面 新しい膨らみに満足

(四十物恵妙=西日本新聞契約ライター)


 2017/08/14付 西日本新聞朝刊

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