<12>術後の胸と初対面 新しい膨らみに満足

手術後ずっと体につながれていたドレーン
手術後ずっと体につながれていたドレーン
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 乳がんの告知から約2カ月後の昨年10月29日、最初の手術を受けました。左胸を全摘し、大胸筋の下に「エキスパンダー」という皮膚を伸ばす袋を入れるものでした。

 覚えているのは、手術台が思いの外、高い位置にあったこと、ライトがやけにまぶしかったこと。マスクをされ、麻酔科の先生に言われて深呼吸を何度かしたところで記憶はぷつりと途切れました。

 意識が戻った時は術後の病室でした。体が自分のものじゃないように重く、点滴に尿管カテーテル、体液を排出するためのドレーンなど、いろんな物につながれていました。少しでも動こうとすると、体全体がグワングワン響くように痛みましたが、夫から「まず問題なさそうだって」と聞いて、ほっとしました。

 術後の左胸との初対面は、翌朝の主治医による診察時でした。乳頭乳輪がなくなり、それに代わるように長さ10センチほどの手術痕が斜めに入っていました。でも、さほど悲しくはありません。新しい膨らみがすでにできていたからです。

 主治医も仕上がりには満足そうでした。左胸を触診し、エキスパンダーの具合を手で確かめると、「いいおっぱい、できました」とにっこり。私の人生で5本の指に入るうれしい褒め言葉でした。

 ちなみに、エキスパンダーの中に入っていたのは生理食塩水です。手術から半年間、数回に分けて注射器で量を増やすことで膨らみを大きくし、皮膚を伸ばしていくというわけです。

 乳がん仲間に聞くと、手術直後の量は50CCとか100CCとかいう人が多いのですが、私は皮膚の伸びが良かったのか、最初から200CCも入ってふっくらしていました。それも喪失感の軽減につながったように思います。

<続き>入院延びて18日間 人生を仕切り直し

(四十物恵妙=西日本新聞契約ライター)


 2017/08/21付 西日本新聞朝刊

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