<16>再建しない選択肢も 個々の考え、尊重を

福岡市のワコール「リマンマルーム福岡」で販売している補正パッド
福岡市のワコール「リマンマルーム福岡」で販売している補正パッド
写真を見る

 乳がん友達のKさん(52)からメールが届きました。「コラム読んで、再建手術受けるのもいいかなって思えてきたよ」。ちょっとうれしい。

 このKさん、私と同時期に乳がんが見つかったのですが、がん細胞の悪性度が高く、乳房の全摘手術後に抗がん剤治療を半年ほど受けていました。「再建なんて考える余裕はなかった」とのこと。再建は本人がしたいと思った時がベストタイミングだと思います。

 もちろん「再建しない」も選択肢の一つ。「再建までが乳がん治療」という考え方が定着している米国では、再建を拒む女性たちが「Going Flat(ゴーイング・フラット)」という運動を巻き起こしているとか。「私たちは平らな胸で生きていく」といったところでしょうか。「感染などの合併症が嫌」「人工物を体内に入れたくない」などとインターネット上で主張し、「再建ありき」の社会に一石を投じています。

 前回(9月25日付)お伝えしたように、公的医療保険適用で再建が現実的選択肢になったのは歓迎すべきこと。ただ、再建しない人や再建できない人が居心地の悪さを感じてしまうなら本末転倒です。個々の考えを尊重する医療や社会であってほしいと思います。

 さてこの夏、東京で「全摘の会」を開きました。私以外の2人は再建せず、胸をパッドで補正しているのですが、「パッド忘れ対処法」で場を盛り上げてくれました。「パッドを入れずに外出し、コンビニの380円のハンドタオルで代用した」とか、「職場で気付いて、『えいやっ』ってトイレットペーパーをカラカラ回して丸めて入れた」とか。

 大いに笑い、でも時々涙があふれた夜。思いを共有できる仲間がいるっていいものです。

<続き>左胸のサイズは280CC 入れ替え手術で完成

(四十物恵妙=西日本新聞契約ライター)


 2017/10/09付 西日本新聞朝刊

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]