「キキーッ」わがもの顔のあきれた自転車マナー 血だらけで泣く子置いて立ち去りも 福岡

JR博多駅近くは通勤時間帯、多くの自転車が行き交う。カメラを構えると猛スピードの自転車が通り過ぎ、ひやりとすることも=24日午前8時26分、福岡市博多区
JR博多駅近くは通勤時間帯、多くの自転車が行き交う。カメラを構えると猛スピードの自転車が通り過ぎ、ひやりとすることも=24日午前8時26分、福岡市博多区
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 歩道で猛スピードの自転車とすれ違うと、ひやりとさせられる。24日の福岡市議会一般質問で、自転車マナーの問題が取り上げられた。JR博多駅近くで5月、小学生が自転車にはねられ大けがをする事故も起きたという。市の調査でも、自転車マナーが悪いと感じる市民が多い。健康的でエコな乗り物が凶器にもなりうる。街に出ると、そう感じる場面に何度も遭遇した。

 午前8時、博多区美野島3丁目。百年橋通りの交差点は、通勤通学の自転車が数珠つなぎになっていた。カメラを構えると、背後に気配を感じた。その瞬間、隣の歩行者とのわずかな隙間を、猛スピードの自転車がすり抜けていった。

 「歩行者優先のはずばってん、自転車はわがもの顔で渡りよるでしょうが。どげんかせんと」。当直明けという公務員男性(48)はあきれ顔だ。2人乗りの学生、左右を確認せず交差点を走り抜けるスーツ姿の男性もいた。一分一秒を争う時間帯とはいえ、これではいつ事故が起きても不思議じゃない。

 この日、市議会で自転車マナーの問題を取り上げた古川清文議員(公明)によると、子どもが巻き込まれた自転車事故は、美野島交差点の近くで発生。男児は自宅があるビルから歩道に出た直後、通り掛かった自転車と衝突した。転倒して頭を2針縫うけが。服は血だらけで泣いていたにもかかわらず、自転車の人は走り去ったという。

 市議は声を荒らげた。「子どもに出血を伴うけがをさせておきながら立ち去るなど許されない」

 答弁した井上るみ市民局長によると、市内で昨年発生した自転車事故は2812件。全交通事故の23・3%を占める。うち自転車と歩行者の事故は70件に上った。市民を対象にした昨年の意識調査では、自転車マナーが悪いとの回答が8割を超えた。6月に改正道路交通法が施行され、悪質な自転車運転者に安全講習の受講が義務づけられたが、依然、利用者のマナー意識の向上は道半ばだろう。

 取材中、車道にはみ出した自転車が横3列になって車の走行を妨げている場面を見た。市は自転車レーンなど計100キロを整備する計画だが、完成のめどは7年も先の2022年だという。博多駅周辺は、外国人とみられる人が自転車をこぐ姿も目立った。お国が違えば交通ルールも異なる。いかにマナーを伝えるかも行政の課題だろう。

 再び百年橋通り。キキーッ。近くで急ブレーキの音が響き、身をすくめた。高校時代の記憶がよみがえる。自転車通学中、交差点で出合い頭に車と衝突したのだ。幸い無傷だったが、ぐにゃりと前輪が曲がった愛車の姿が今もまぶたに焼き付いている。

この記事は2015年06月25日付で、内容は当時のものです。

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