いまどきの学校<34>コンサート 管楽器と和太鼓、伝統新たに

大勢の住民が見守る中、開催された鞍手中の吹奏楽部と和太鼓部のジョイントコンサート
大勢の住民が見守る中、開催された鞍手中の吹奏楽部と和太鼓部のジョイントコンサート
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コンサートを終え、胸いっぱいであいさつをする和太鼓部の白川ふみ奈部長(左)と吹奏楽部の栗田有依子部長
コンサートを終え、胸いっぱいであいさつをする和太鼓部の白川ふみ奈部長(左)と吹奏楽部の栗田有依子部長
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 福岡県鞍手郡鞍手町小牧の鞍手中で、管楽器と和太鼓による初の共演が実現した。10月23日に開催されたコンサート。吹奏楽部の生徒35人と和太鼓部の23人が体育館のステージに上がり、葛飾北斎の「富嶽(ふがく)三十六景 神奈川沖浪裏(なみうら)」をイメージした曲「グレート・ウェーブ」を披露した。600人以上の地域住民が管楽器の透明感と太鼓の重厚感に聞き入った。「西日本の中学校ではめずらしい管楽器と和太鼓の演奏。学校の新しい伝統になればいい」。吹奏楽部の大場豊輝顧問(56)と、和太鼓部の伊藤克広顧問(57)はそう語り合い、生徒たちを見つめた。

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 吹奏楽部と和太鼓部は異なる道を歩んできた。

 生徒数減に伴い、鞍手中は昨年4月、鞍手北中と鞍手南中が統合して誕生した。

 吹奏楽部は鞍手北中で活動してきた。鍵盤ハーモニカなどが中心だった前身の器楽部から1990年に吹奏楽部に代わり活動を開始。吹奏楽コンクール九州大会で金賞受賞やアンサンブルコンテストの全国大会に出場するなど実績を誇る。一時は部員が100人を超えたこともある。

 一方の和太鼓部は鞍手南中が母体。昭和50年代、校内が荒れて中止が続いていた文化祭を86年に生徒会が和太鼓を演奏して復活させた。ちょっとやんちゃな生徒たちの心をつかんだ。その後「南陵太鼓」として総合学習に採用され、練習を続けてきた。和太鼓継承と発展のため鞍手中誕生時に部となった。

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 「吹奏楽も和太鼓も歴史があり、地域の催しでも演奏している。住民に親しまれています」と、鞍手北中と鞍手南中に計26年間勤務した鞍手中の外園哲也校長(60)は胸を張る。

 今回の演奏会は、「吹奏楽の鞍手北中」「和太鼓の鞍手南中」と地域の代名詞となっていた両部の合同演奏で新たな出発を祝おうと、吹奏楽部が和太鼓部に共演を持ち掛けた。

 2週間前から合同練習を開始。ただ、当初は調和しなかった。「指揮者に合わせ演奏する習慣がない」(和太鼓部の生徒)「太鼓の音が強烈」(吹奏楽部の生徒)-。それでも練習を重ねるうちに互いの持ち味を尊重するようになり、息も合うようになった。

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 そして迎えた本番。「グレート・ウェーブ」は、時には静かで、時には激しい波が、終盤で大波の到来とともに最高潮を迎える。緊張気味にステージに上がった生徒たちは約7分間の演奏後、表情がやっとほぐれ、全員に笑顔が広がった。

 吹奏楽部の部長、栗田有依子さん(15)は「今までつらいこともあったけど、みんなで頑張ったから乗り越えられました」。和太鼓部の部長、白川ふみ奈さん(15)も「演奏ができたのは指導してくださった先生たちのおかげです」。来年春に定年を迎える外園校長は「新しい文化として地域に根付いてほしい」と願いを語った。

この記事は2016年11月15日付で、内容は当時のものです。

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