人気作読み解く旅続く 漫画「ONE PIECE」研究家 神木 健児さん(32) 長崎県

付箋がびっしり貼られた本を手にする神木さん
付箋がびっしり貼られた本を手にする神木さん
写真を見る

 ワンピースの単行本83巻はもちろん、1997年に連載開始した時の週刊少年ジャンプ、作者尾田栄一郎さんの直筆サイン-。ファン垂ぜんの品々が、長崎市ダイヤランドの自宅につくった4畳余りの「研究部屋」にずらり並ぶ。本には青とピンクの付箋がびっしり。「今週の話が10年前の一コマや15年前のせりふとつながってることがある」。読む度に発見があるのが魅力だと語る。

 ワンピースは海賊となった少年が「ひとつなぎの大秘宝」を巡る海洋冒険の物語。単行本の発行部数は3億4千万部を超え、2015年6月に「最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズ」としてギネス世界記録に認定された。

 兄の影響で読み始め、毎日読むようになったのは12年前から。今は広告代理店に勤め、片道30分のバスでの通勤時間に単行本を読む。「物語を忘れるのが怖い」と、行きで1巻を読めば帰りは40巻という具合に間を開け、3カ月で2回り読破する。

 12年にテレビ番組に出演した際、ワンピースを担当した歴代編集者より知識が豊富だったため、熱心なファンの間で「神」と呼ばれるようになった。豆知識を発信するツイッターのフォロワーは4万人に迫る。

 11年にはハウステンボスに掛け合い、当時停泊していた漫画に登場する船「サウザンドサニー号」を貸し切りプロポーズした。その後、船上披露宴が始まるきっかけとなった。

 観光の可能性を感じ、今は長崎での「ワンピースさるく」を考案する。ある記事で、尾田さんが長崎市の三菱重工業長崎造船所を訪ね、取材したとの発言を確認。12年公開の映画では眼鏡橋や路面電車が描かれ、アニメでは軍艦島(端島)がモデルの島も登場するという。「『聖地巡礼』で盛り上がるはず」と話す。

 夢は、連載が終わってから尾田さんと対談すること。「歴史の研究者のように、私はワンピースを研究し続ける」。多くの謎や伏線が、ひとつなぎになる日を心待ちにして。

 ●私の好きな娯楽

 落語です。ワンピースの中にも「抜け雀(すずめ)」や「夏の医者」といった演目が登場します。尾田先生は中学1年の時、誕生日に正月寄席のチケットをプレゼントされてからはまったようです。尾田先生がお気に入りの柳家小三治さんがよく長崎に来るので、寄席を見に行くのが楽しみです。

この記事は2016年12月18日付で、内容は当時のものです。

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]