衝撃「落札率100%」 飯塚市発注工事入札<上>業者「競争の必要ない」 福岡県

造成工事が進められている鎮西小中一貫校の建設現場
造成工事が進められている鎮西小中一貫校の建設現場
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 福岡県飯塚市が8月に実施した鎮西小中一貫校の建設工事計5工区の一般競争入札で、参加した五つの共同企業体(JV)すべてが上限価格の100%で落札していたことは、市民に衝撃を与えた。1円も安くならない入札を経て公共工事が受発注される背景を追った。

 14億6987万4600円。鎮西小中一貫校の第1工区入札で予定された上限価格。2JVが競合した入札で、ともに14億6987万4600円と消費税込みで百円単位まで同じ値段が提示された。結局、落札者はくじ引きで決まった。

 8月23日。飯塚市役所本庁舎4階の入札室で計5工区の入札が、5分おきに行われていた。第2工区(予定価格は9億5千万円)では3JVが予定価格と同額で横並び。第3、第4…すべてのJVが予定価格と同じ金額を提示し、落札率はすべて100%に。全5工区の落札価格合計は約44億円に上った。

 最低制限価格と上限価格(予定価格)の間で、百円でも安い額を提示した企業が他の企業に競り勝つのが一般競争入札だ。飯塚市は1999年、設計金額5千万円以上を対象に、予定価格を前もって公にする事前公表を始めた。一般的に、契約を取りたい企業は最低制限価格に近い額を入れ、予定価格に近くなるほど落札の可能性は低くなる。利益率が高い入札では最低制限価格で横並びとなるケースが多いが、今回の建設工事入札は事情が違った。

 筑豊地区のある自治体の入札担当者は「うちも予定価格は事前公表だが、100%はない。ありえない」と驚きを見せた。

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 飯塚市契約課は5JVの代表者に聞き取りを実施。業者は「入札額は積算した結果」などと談合を否定。同課職員は、8月31日と9月7日に飯塚署を訪ねた。1度目は、月例の入札報告。2度目は、鎮西小中一貫校入札での業者聞き取りの結果報告だ。市契約課の村上光課長は「(5件の100%が)あまりないケースだったから」といい、飯塚署幹部は取材に対し、市から相談があったかどうかを含めて「一切答えられない」と話した。

 「問題なし」と結論づけた市は、9月議会に工事契約の議案を提案、議会は可決した。

 全国市民オンブズマン連絡会議は「落札率が95%以上の入札は談合の疑いがきわめて強い」としている。適切な積算による高落札率もあれば、低落札率には工事の品質や下請け業者に対する支払いの問題などがはらむ。しかし、億単位の工事の入札が消費税まで合わせてなぜ100%でそろうのか-。今回の入札に参加した複数の会社が、過去3年の間に市発注工事を落札率100%で取っていた。

 「会社の方針で談合は一切しない」。今月上旬、参加5JVの一つで代表者を務める飯塚市内の建設会社社長が取材に応じ、明確に談合を否定した。社長は「100%でも利益は低い。以前は力が強い議員と関係がある会社が工事を取りよった。今は楽。入札価格が事前公表だから。悪いことはできん」と笑う。

 そして100%の横並びについてはこう強調した。

 「入札の時点で5工区で代表者として参加できたのは5社だけ。競争して取る必要がないことはみんな分かっていたと思う。こちらは公募の通りにやっとる」

 ▼一般競争入札 公共工事の発注や物品購入などに当たり、地方自治体には「良質・安価」な調達が求められる。このため、不特定多数から募る一般競争入札が、全国の自治体で広く導入されている。予定価格の事前公表は、業者が価格を知りうる公務員から金額を聞き出すなどの不正行為を防止するのが目的だが、総務省は「落札価格の高止まり」「談合をより容易にする」との弊害も指摘している。

この記事は2016年12月13日付で、内容は当時のものです。

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