衝撃「落札率100%」 飯塚市発注工事入札<下>高い契約 付けは市民に 福岡県

飯塚市執行部が提案する落札率100%の工事契約議案の検証が求められる飯塚市議会
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 11月17日夕、西日本新聞社筑豊総局に電話があった。「明日ある入札の落札業者が決まっているらしい。これって、談合ですかね」。相手は「赤村の住民」とだけ告げた。

 赤村では翌18日に10件の入札が予定されていた。電話の主はこのうち指名競争入札の2件の工事名とA社、B社の名を挙げた。「落札額は知らない。AとBが落とすとだけ聞いた」

 指名競争入札は、行政が資力や技術、信用などを適切と認めた複数の業者を指名する入札方法。参加者は公表されない。2件の入札には地元事業者が7社ずつ参加予定。AとB両社も含まれていた。

 本紙は、情報が寄せられた直後に赤村産業建設課に通報。同課は18日に予定された入札10件を延期し、全業者の代表者を呼び出して事情聴取した。いずれも談合を否定したという。

 村は、延期した10件の入札を11月29日にあらためて実施。問題の2件の入札は、情報通りA、B両社が落札した。同課の神吉一孝係長は「指摘があった案件で名前が挙がった2社が結果的に落札したが、行政としてできる限りのことはやった。談合はなかったと信じている」と話す。

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 筑豊地区では、談合事件がたびたび摘発されている。2006年に旧山田市(現嘉麻市)の市議や業者、08年に宮若市の業者、09年に同市の別の業者や福智町議、14年には川崎町長が逮捕された。

 西日本新聞の取材では、筑豊5市で「落札率100%」の工事入札は14年度に8件、15年度に7件ある。事情はさまざまで、嘉麻市管財課は「100%となった工事は、おおむね(利益が低い)不人気工事。大半の業者が辞退した案件で、意図せず落札者となった」ケースもあるという。

 とはいえ、発注側が払える上限価格のまま契約に至る入札からうかがえることは何か。公正取引委員会九州事務所・九州経済法研究会の屋宮憲夫座長(福岡大法学部教授)は、「材料の調達、作業の仕方など業者によって積算はそれぞれだが、予定価格でそろうのは不自然」だとし、「協調的に業者間で仕事を分け合った可能性はある。競争が働かず、割高な価格が出ている恐れがある」と指摘する。

 飯塚市の鎮西小中一貫校5工区の落札額計44億円は、仮にどの工事も最低制限価格で落札されていたら、差額は約4億6千万円に上る。同市では保育士不足から約130人の実質的な待機児童がいることが深刻な問題になっているが、その額は公立保育園で平均年収500万円のベテラン保育士を10年契約で新たに9人雇える額に匹敵する。

 飯塚市はこれまで高落札率に「問題なし」との見解を繰り返し示してきた。公共事業の原資は税金だ。予算を節約できれば、浮いたお金で何ができるだろう。開会中の市議会でも、検証が求められよう。高い買い物の付けは市民が払わされることを忘れてはならない。

この記事は2016年12月15日付で、内容は当時のものです。

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