「トンボ王国・佐賀」異変 15年間で個体4割減 佐賀大と国立環境研 原因究明へ

減少が顕著な種の一つ、赤トンボの「マユタテアカネ」(中原正登さん提供)
減少が顕著な種の一つ、赤トンボの「マユタテアカネ」(中原正登さん提供)
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 生息環境が整っていることから「トンボ王国」と言われてきた佐賀市で、トンボの主な種類の個体数が15年間で4割減少していることが、佐賀大農学部の徳田誠准教授(昆虫学)研究室の定点調査で分かった。赤トンボは10分の1以下に激減しており、農薬などに加え、川やクリークの外来植物の繁殖や護岸整備による環境変化が要因とみている。

 国立環境研究所は「多種類のトンボの生息減少を示すデータは国内にほとんどなく貴重」として2017年度から佐賀大と共同研究に乗り出す方針。

 徳田准教授によると、15、16両年の5~9月、佐賀市内の多布施川護岸や林、広場の定点11カ所でトンボ28種類の個体数を目視調査し、00年に同じ場所で県立牛津高(佐賀県小城市)の生物教諭、中原正登さん(55)が蓄積したデータと比較した。

 それによると、トンボは大半の種類が減少。15、16年の個体数(平均値)は約2300匹で00年の3871匹から4割減った。うち最多のハグロトンボも47%減の約1700匹で、赤トンボのマユタテアカネは13分の1の2匹にとどまった。

 佐賀大農学部は環境分析化学と生態学の両研究室で研究を進め、幼虫のヤゴがいる池や川に残留する農薬や除草剤、水底の外来植物、護岸整備の状況などとの関連を調べている。

 水辺に生息するトンボは環境変化を測る「リトマス紙」とされ、佐賀平野の水田やクリーク、脊振山系の森林などの環境に恵まれた佐賀県には希少種を含む約90種類が生息。専門家の間では全国有数の「トンボ王国」と称されてきた。

 徳田准教授らは、国立環境研究所とは農薬の影響を研究する計画。国立環境研究所の生態リスク評価・対策研究室の五箇公一室長は「トンボは全国的にも減少が懸念されており、先駆的な研究になりそうだ」と話している。

この記事は2016年12月31日付で、内容は当時のものです。

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