【DCの街角から】大統領に言いたいこと

「米国を取り戻そう。(中間選挙で)投票を」という手書きのプラカードを掲げるフォンディさん=1月
「米国を取り戻そう。(中間選挙で)投票を」という手書きのプラカードを掲げるフォンディさん=1月
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女性大行進では、高校生など若者が女性の機会均等やイスラム教徒への差別に反対する姿も目立った=1月
女性大行進では、高校生など若者が女性の機会均等やイスラム教徒への差別に反対する姿も目立った=1月
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 米国での勤務が2月末で1年を迎える。初対面の米国人に「West Japan News」(西日本新聞)の記者と名乗っても知っているはずもなく、取材の冒頭は大抵「日本の南西にある九州という島から来た」という説明から入る。

 そこで「何で日本の地方から?」とよく聞かれる。九州には米軍基地もあるし、経済活動でも深くつながっているので昔からウオッチし続けていると答えるのだが「特に今はトランプ大統領の政策が読めないから」と付け加えると納得してくれる。

 その時の反応で、相手がトランプ氏をどう思っているか分かることが少なくない。特に支局のある首都ワシントンDC(コロンビア特別区)はリベラル系が多いといわれるだけに、「トランプ」と聞いた途端、笑顔が引きつる人もいる。

 そんな「反トランプ」派が首都に集まった1月のデモ「女性大行進」で、「トランプ氏が目の前にいたら何と声を掛けたいか」と聞くと、多くが「即刻辞任」と口をそろえた。

 「抵抗」と書かれたシャツを着ていたフォンディさん(60)は、トランプ氏について「うそつき」などと散々まくし立てた揚げ句、こう嘆いた。「こんな大統領がいる今の米国を取材されて本当に恥ずかしい」

    ☆    ☆

 だが、首都から離れ、地方に足を運ぶと話は別だ。

 昨年末、出張先で出会ったウェストバージニア州のバス運転手ショルディスさん(41)は、石炭産出などが主要産業の州の活性化にトランプ氏が取り組み、街に希望をもたらしたと評価。「言いたいこと? 2期8年務めてほしい」とべた褒めだった。こんな熱心な支持者は首都にもいるはずだが、他人の目を気にする「隠れトランプ」が多く、なかなか出会えない。

 それにしても、トランプ氏を巡って国民がこうも大きく割れている状態には息苦しさを感じる。「同僚は俺がトランプ支持と知ってあいさつすらしない。だから俺もそいつらを無視する」。ミシガン州の自動車工場勤務の男性のような話を、この1年だけで何度聞いたことか…。

 渡米前、新聞で見掛けた「米国の分断」という表現を正直、大げさだと感じていたが、むしろ修復可能かと心配になるほど悪化しているように感じる。

 こんな社会の空気を変えようという気持ちが、トランプ氏にはあるのだろうか。

    ★    ★

 米国は、混乱ばかりが目立つ「トランプ時代」の真っただ中にある。自由、平等、多様性が誇りのはずの世界一の先進国はどこに向かおうとしているのか。「DC」と呼ばれる首都の街から見える米社会の今をつづりたい。 (田中伸幸)


=2018/02/24付 西日本新聞夕刊=

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