【DCの街角から】「反トランプ」も過激化

10日、同僚議員と共にトランプ大統領への徹底抗戦を呼び掛ける民主党上院トップのシューマー院内総務(中央)。言葉は勇ましいが…
10日、同僚議員と共にトランプ大統領への徹底抗戦を呼び掛ける民主党上院トップのシューマー院内総務(中央)。言葉は勇ましいが…
写真を見る

 「今こそ戦いの時だ」。10日、米議会上院の野党民主党を率いるシューマー院内総務がワシントンの連邦最高裁前で記者会見を開き、高らかに宣言した。

 前日の夜、トランプ大統領は最高裁判事の退任に伴う後任に保守派のカバノー判事を指名した。この人事が上院で承認されれば、最高裁の判断がより右傾化するとの懸念が左派やリベラル層に広がっていることを踏まえ、シューマー氏が国民に徹底抗戦を呼び掛けたのだった。

 念頭には、投開票まで4カ月を切った11月の議会中間選挙がある。今、米国内は与野党の候補者を選ぶ予備選の真っ最中。トランプ氏も毎週のように地方遊説に出掛け、与党共和党候補の支持を訴えている。

 選挙を控えた対決ムードが高まる中、最近目立ってきたのは「反トランプ」の人々の感情むき出しの過激な言動だ。サンダース大統領報道官は6月、レストランで家族らと食事を始めたところ、トランプ氏の政治姿勢を嫌う店の経営者から、その後の料理の提供を拒否され、追い出された。政権の2人の閣僚もそれぞれレストランで食事中に、反トランプの市民から「恥さらし」と連呼されたり「辞任しろ」と迫られたりして、やはり退店を余儀なくされた。

 主義主張が違うとはいえ食事くらい取らせてやれよ、と正直思うのだが、知人の民主党支持者に言わせれば「オバマ政権時代には『オバマ氏を殺す』と脅すような共和党支持者もいた。そっちの方がひどい」。こんな調子だけに、この手の騒動は今後も続きそうな気配が漂う。

    ☆    ☆

 驚きなのは民主党の中に、こうした反トランプ活動をさらに拡大するよう、公然と国民にけしかける議員がいることだ。人権侵害などお構いなく、時に事実に基づかない毒舌で相手を徹底的に攻撃するトランプ氏に対抗するには手段は選べない、ということなのかもしれない。とはいえ、感情的に対決をあおれば冷静な政策論争など期待できず、社会の分断を深めるだけ。生産的とはとても思えない。

 こうした言動は入念な選挙戦略というよりむしろ、2016年の大統領選で敗れた後、いまだ確固たる党のリーダーを見いだせず、トランプ氏に対抗しきれていない中での、その場しのぎの対応に見えてならない。

 実際、冒頭のシューマー氏の戦闘宣言も、用意した紙を読み上げながらとあって、緊迫感がいまいち伝わってこなかった。

 それでも中間選挙では共和党の敗北を予想する報道が少なくない。ただし、民主党にオバマ氏のようなリーダーがこのまま現れなければ、トランプ氏は20年の次期大統領選でも勝てる-。保守層からは、こんな予想が漏れ聞こえる。 (田中伸幸)

=2018/07/14付 西日本新聞夕刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]