プログラミング(2)情報化 独自教科の取り組み

福岡教育大付属久留米小の広木伸幸教諭。手前にあるのが「マス目ゲーム」やレゴ社の製品
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 白色と青色の、たくさんの四角がくっついたマス目。問いは、「スタート」から「ゴール」を目指そう。ルールは簡単。白色のマスを上下左右に進む。ただし、青色は1マスだけ飛び越えられる。

 福岡教育大付属久留米小学校(福岡県久留米市)の広木伸幸教諭(31)が、低学年向けに自作した「マス目ゲーム」。紙と鉛筆だけを使い、プログラミングに求められる思考力を育成しようと考案したものだ。

 ゴールに到達する経路は複数ある。子どもたちは、自身が見つけた経路ばかりではなく、級友の解答と見比べることで、それまで気付かなかった「思考回路」を発見することにもなる。

 「アナログな素材でも、見通しを立ててからやってみて、どうだったか振り返ることができる」と広木教諭。理科学習の基本「仮説-実践・実験-検証」に改善を加え、子どもたちの学習も、授業づくりも進んでいるようだった。アクティブ・ラーニング(児童同士の学び合い、教え合い)の要素も取り入れられている。

 「脳トレ」のような授業

 この小学校では、文部科学省の研究校指定などにより、2012~14年度と16、17年度に独自の教科「情報科」を創設し、授業に取り組んでいる。ICT(情報通信技術)時代に対応した新教科だ。

 前半の3年間は、情報の読み解き方、デジタル機器の使い方や基礎知識、情報モラルをテーマに学んだ。2020年度からの新学習指導要領でプログラミング教育が必修化されることになり、4年目からプログラミング学習の要素を追加した。

 授業時間数は1年生は年間34こまで、2年生以上は35こま。従来は行事に向けた練習などに使っていた時間を充てている。

 低学年向けの「マス目ゲーム」はそうした取り組みの中から生まれた授業で、「ルール通り、進み方の順序を考える」「二つの可能性を考え、適切な方を選択できる」が学習の狙い。

 中学年では、文科省が運営するウェブサイト「プログラミン」を利用。複数の動きの中から子ども自身が選択し、アニメーションを作るなどした。

 高学年の授業では、玩具メーカー「レゴ社」の製品を使った。こちらも子どもが動きを考え、動かしてみるのは同じだが、色や距離を感知するセンサーもあるため、高性能ロボットを操っている感覚にもなる。

 カギは計画、実行、改善

 どんな学力を養おうとしているのか。文科省と同小学校が掲げる「三つの柱」は別表の通り。共通するのは、問題解決の手法を学び、生活の中で生かしていこうということだ。

 16年度の実践を通じ、広木教諭は「計画、実行、改善という学習方法が見えてきた」と振り返る。「PDCA」(プラン・ドゥー・チェック・アクション)という言葉を思い起こした。企業経営や行政施策に登場する用語で、教育現場でも近年、よく聞かれる。計画を立て、実行、評価し、改善につなげる…。プログラミング学習とは、そんな地頭づくり、脳トレ(トレーニング)のようなものなのかもしれない。

 授業実践を通じ、見えてきた課題の一つは、「計画」の段階で利用したフローチャート(流れ図)が児童には難しかったこと。フローチャートには、「開始」と「終了」の文字は丸く囲む、「進む」などの処理は四角で囲むなどのルールがある。専門家にとっては慣れたものだろうが、児童たちにとっては分かりにくかった。そこで、思い思いに「計画」を書かせてみると、「今度は表現がバラバラで、共通の土台に乗せて話し合うのが難しかった」という。

 本年度は、こうした課題の改善に取り組むのに加え、算数や国語などにもプログラミング教育を取り入れた実践も進めていく。「何通りも解き方がある算数の計算だと、過程を振り返り、効率的な解き方を見つけるというイメージです」と広木教諭。授業づくりに向けた模索が続いていた。

=2017/06/11付 西日本新聞朝刊(教育面)=

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