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小学校英語(2)中核教員 チームで学び、教える

手作りの絵カードを使い、小学校英語授業のあり方を話し合う中核教員=7月31日、福岡市
手作りの絵カードを使い、小学校英語授業のあり方を話し合う中核教員=7月31日、福岡市
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 「まず、どの単語から教える?」「このタイミングで、歌を入れようか」「こう言えば、子どもたちはこう反応するんじゃないかな…」

 自宅で準備してきた手作りの絵カードを手に、女性教諭がペアになり、英単語の導入方法や教える手順を考えていた。英語でどう指示するのか、日本語は使ってもいいか、授業場面のシミュレーションを繰り返す。

 夏休み中の7月末、福岡市早良区の市教育センターで、公立小学校の教員を対象とした英語の研修会があった。参加したのは市内の小学校で本年度、外国語活動の「中核教員」に選ばれた男女32人。各学校で英語指導を担当するリーダーで、授業ノウハウを広める役割も担う。

 3日間の研修最終日は実践発表。約10分間でゲームや歌なども交えながら、英単語を学んでいくにはどんな授業が考えられるか。「モデル授業」が発表された。

 「Let's sing!(歌ってみましょう)」

 「happy happy」

 「hot hot」

 「幸せ」や「暑い」といった形容詞を学ぶ場面では、手拍子に合わせ、歌いながらリズムをとる。ゲームやジェスチャーも交えながら、発表が進んだ。

 そうだよね、教える側の先生がまず楽しまなきゃ。

   ◇   ◇

 「では、今の授業のフィードバック(検証や感想)を英語で言ってみましょうか」。発表後、指導教員がそう呼びかけると一転、室内はシーンと静まりかえった。「難しく考えないで。短い、簡単な表現で大丈夫ですから」。やがて日本語と英語がチャンポンになった意見がぽつぽつ出始めた。

 「ジェスチャーを上手に使ったり、読み聞かせをしたり、小学校の先生たちは、もともと、子どもに教えることはとっても上手。ただ、英語を使うことには、まだ抵抗があると言う先生も少なくない」(市教育センターの山中剛・研修研究係長)

 研修に参加していた中核教員に話を聞くと、「自分の英語に自信が持てない」という声が多かった。

 福岡市内の小学校で5年生を担任する江口賢教諭(34)は「ALT(外国語指導助手)の先生とのやりとりで困ることもあり、授業外でもALTと積極的に話すよう努めている。堅苦しい英語ではなくて、子どもたちが楽しめる英語の教え方を自分も学びたい」と話した。

   ◇   ◇

 中核教員にとって、これからが正念場。習得した指導法を、校内研修で同僚に分かりやすく伝えなければならない。2学期はそうでなくても業務が多忙で、資料作りを含めて夜遅くまで作業が続いているだろう。

 そんな中、福岡県教育センターが2015年度に開発し、ホームページ上でも公開する「校内研修プラン」が、全国の学校から注目されているそうだ。

 中核教員がスムーズに校内研修できるよう手助けするもので、研修の流れ、展開例、スライド資料、読み原稿のほか、発音や英語の歌が入った動画まで至れり尽くせり。福岡県内では昨年度から中核教員に配布され、長崎、宮崎両県などでも使用されているという。

 ただ、マニュアル通りの授業では、子どもたちを引きつけるのは難しい。

 20年度本格導入に向け、移行措置が始まる来年度から使う5、6年生英語の教材は9月末に発表されたばかり。3、4年生の「外国語活動」については年内公表予定で、多くの教員が教科書や授業の姿をまだ描き切れないでいる。

 中学校英語の前倒しではなく、小学生にとって英語を使う楽しさを知る授業の姿とは? 先生たちは、自分なりに納得する授業イメージを組み立てようと、もがきの渦の中にいた。

 ◆小学校英語と指導 教員の英語力強化に向け、文部科学省は2014年度から、国の研修を受けた教員を「英語教育推進リーダー」に認定。同リーダーが小学校から1人ずつ選ばれた「中核教員」を研修し、英語指導法を各学校でさらに広める取り組みが続いている。中核教員の多くは、必ずしも英語が得意ではなく、悩みも。ベネッセ教育総合研究所が昨年8~9月に実施した全国調査では、公立小学校教員の75.6%が英語の指導に「自信がない」と回答した。

=2017/10/15付 西日本新聞朝刊(教育面)=

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