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小学校英語(4)指導法 授業はどう変わる

教員らを対象にした研修会で、小学5、6年で新たに使う教材「We Can!」の内容について説明する文部科学省の直山木綿子・教科調査官
教員らを対象にした研修会で、小学5、6年で新たに使う教材「We Can!」の内容について説明する文部科学省の直山木綿子・教科調査官
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 中学校から学ぶ、読み書き、文法中心の旧来型の英語授業では、もはやグローバル時代の人材育成には太刀打ちできない。「使える英語」を身に付けるためには、小学校から英語に慣れ親しむべきだ-。政府の「教育再生実行会議」の提言などを受け、小学校の英語授業は変わろうとしている。

 福岡市で9月末、小学校英語の研修会があった。講演したのは、中学校の元英語教諭で文部科学省初等中等教育局の直山木綿子(ゆうこ)・教科調査官。新教育課程の策定に関わり、各学校の授業改善指導にも取り組む。会場には、九州各県の英語指導への熱意を持った教員ら約350人が詰めかけた。

 小中高校で「使える英語」を段階的に身に付けていくため、その第一歩となる小学校の英語授業の姿とは? 直山さんの説明をたどってみる。

   ◇   ◇

 「教科になれば、慣れ親しみから一歩進んで定着が視野に入る。今まで学んだことが、いつでも引っ張り出せないといけない」

 小学校英語は2020年度から見直される。これまで教科外の扱いだった5・6年生の英語が正式な教科になり、通知表で評価される。

 文科省は9月下旬、18、19年度の移行期間に使う5・6年生の英語教材「We Can!」を公表した。20年度から使う教科書の原型。これまでの「話す」「聞く」に加えて、「読む」「書く」の内容も加わり、過去形や「he」「she」などの三人称にも触れる。これまで中学校で学んでいた内容だ。講演はその直後だっただけに、注目を集めた。

 5・6年生の英語授業づくりに向け、直山さんは一つのキーワードとして「スモール・トーク」(短い対話)を挙げた。これまで習った語句や表現を、「話し言葉」へと広げていく取り組み。教員と児童のやりとりから始め、徐々に児童同士で会話する場面を増やすよう求めた。

 「『I see』や『Sounds good』など簡単な言葉でいい。言っているうちに言葉が増えていくので、会話がつながるように意図的に声を掛けてほしい」

 学んだ表現を、何度も繰り返し、積み重ねていくことで中学校での学習にスムーズにつなげる。それが5・6年生の新たな授業のポイントのようだった。

 新教材は、児童の関心や意欲に沿った配列で、20年に開催される東京五輪・パラリンピックについての記述も見られる。子どもたちにとって、身近な場面を設定し、より実生活に活用できるような英語力の習得を目指している。

   ◇   ◇

 「小学校の先生たちが外国語教育に消極的になっている原因として、英語を学ぶ壁の高さがある。壁を低くするには、とにかく英語に触れ、聞き、見て、口にするのが一番」

 5・6年生を対象にした教科外の「外国語活動」(聞く・話すだけ)は11年度から導入された。小学校でも英語を学ぶようになったが、学校や教員によって取り組みに濃淡があり、直山さんは不満そうだった。

 「目の前の子どもは数十年先の未来がある。大人になっても困らない力を身に付けないといけない」

 教員主導ではなく、ALT(外国語指導助手)頼みになっている授業の実情にも触れ、新たな連係指導も求めた。

 新教材最後のページには、「将来英語を使ってどのようなことをしたいか」(5年)▽「英語を使ってどのようなことができるようになったか」(6年)を書く欄があった。小学生たちはどうつづるのだろう。

 3・4年生で新たに学ぶ「外国語活動」を含め、授業の姿はまだぼんやりしていた。

 ◆英語教育の早期化 公教育では2010年度まで中学校から英語を学んでいたが、11年度からは小学5年から学ぶようになり、20年度からは小学3年から学ぶ。英語教育の早期化が進んでいる。

 英語学習では、単語、文型、発音を覚え、反復練習するのが主流。この指導法の限界を指摘する声もあり、近年では実際の場面などを想定した学習方法(コミュニカティブ・アプローチ)も導入されるようになった。新教材にもその考え方が反映されている。

 英語教育の早期化については、グローバル化に向けたそもそも論や学習開始時期を含め、さまざまな意見がある。

=2017/10/29付 西日本新聞朝刊(教育面)=

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