PTA改革(3)逆戻り 何をなぜ見直すの?

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任意加入へ「大改革」

 せっかく踏み出した改革への一歩。その歩みを継続するには、さらなる一手が求められるようだ。

 「PTAの原点に立ち返り、本来あるべき姿を目指して改革を行う」。2013年春、西日本にある小学校のPTA会長になった武さん(49)=仮名=は、PTA新聞で決意表明した。それまでの全員加入方式を見直し「任意加入」を柱とする改革へ。「やる人がやる」から「できる時に、できる人が、できる範囲で」。緩やかな組織にして、より多くの人を巻き込みたかった。

 まず「新しいPTAを考える会」を立ち上げ、活動のあり方や見直すべき点について話し合った。

 PTA会費の徴収はいったん中止にした。会費の一部が、図書購入や花壇整備などの学校運営補助に充てられていたからだ。「学校は、行政がきちんと運営するもので、保護者頼みはおかしい」。行政や学校が負担すべきお金と、PTAが負担すべきお金を区分けし、コスト面から活動を見直した。

 学校支援にどうしても必要な費用は、PTA会費とは別途徴収することにした。「子どものためなら」と、拒む保護者はいなかったという。

 各校PTAが自治体単位でつくる連合組織からも脱退した。連合組織に支出する分担金がなくなり、会議も減って時間のゆとりができた。バレーボール大会などの合同イベントに参加できないことに異論も出たが、説得し、納得してもらった。

 任意加入方式のPTA運営は14年度から始まった。当初加入率は約1割に落ち込んだが、運動会などの学校行事でも保護者有志が協力し、運営に支障はなかった。

 武さんは「組織がないと何もできないという呪縛があったが、困ったことはほとんどなかった」と話す。

   ◇   ◇

 武さんはその学校で2度、PTA会長を務めた。

 08年に初めて会長になって程なく、PTAは任意加入でもいいことを知った。改革第1弾は就任2年目。年度初めの保護者会でのPTA役員決めを中止にした。役員になりたくないからと、保護者会の出席率が低かったからだ。「保護者会は学校主体のもので、もっと本来話すべきことがある」

 会長を3年間務めた後、副会長を務め、13年に再び会長に。周囲から「再登板」を打診され、「やりたいように大改革する」ことを条件に会長を引き受けた。

 改革に伴う保護者からの疑問には、Q&A形式にしてPTA新聞で回答。任意加入に移行しても、会員と非会員への平等対応を心掛け、改革は軌道に乗ったかに見えた。

   ◇   ◇

 ところが、16年度で会長を退くと、かつての「ピラミッド型PTA」に逆戻りしつつあるそうだ。

 ある保護者によると、本年度は非加入届を出さない限り、PTAに自動加入する形になったという。

 学校側もその動きを支持しているように感じる。旧組織の方が、PTA会長に窓口が一本化され、伝達や交渉、了解を得やすいからだ。

 改革を断行した武さんから見れば「PTAはなくてもいい。やりたい人がやればいい」というのが率直なところだ。いま、なぜ、PTA改革が求められているのだろう。

 働く親が増え、かつてのような業務分担が容易ではなくなった。「本当に必要なのか」と、多くの親が疑問を持ちながら「前例踏襲」に流されがち。そして多くの親が口をそろえるのが「やらされてる感」だ。

 PTA改革はいま、ちょっとしたブームになっている。先進事例にも学びながら、活動のスリム化や負担軽減、組織運営の見直しが各地で進む。でも、一番大切なことは「自分なりに無理なく」「関わって良かった」と親たちが話せる仕組みづくりのように思える。それが何より学校や子どもたちのためになる。

 武さんの話を聞きながら、PTA改革には強いリーダーシップや求心力も必要だけれど、息長い改革につなげるには、さらなる理解と協力が求められているように思えた。

 ◆PTA組織・運営の見直し 核家族化や共働き増加などの時代変化に対応し、PTA組織のあり方や運営方法を見直す動きが広がっている。

 保護者と教員の連携・協力組織(社会教育団体)として位置付けられているが、(1)入学と同時に全員自動的に加入することに伴い、会員意識が低い(2)一部役員への過重負担(3)学校の財政支援団体に陥りがち(4)保護者と教員の役割分担があいまい-などの課題を抱え、改革の動きにつながっている。

 見直しの視点としては(1)保護者の自主性を尊重する「ボランティア化」(2)PTAに地域社会(community)を巻き込み、地域ぐるみの「PTCA」へ(3)教育提案型組織への移行-などがあり、各地で模索が続いている。

=2018/06/17付 西日本新聞朝刊(教育面)=

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