部員の体調、アプリで「見える化」 筑紫女学園高ハンドボール部

気になる部位の入力画面は、痛みの度合いを10段階から選んで報告する
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アトレータの指導者側の管理画面。選手一人一人の体調や気になる体の部位、コメントの有無などが一覧できる
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食事の入力画面。データベースに登録された約8万5000件の品目から選ぶ
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食事の入力画面。理想の摂取量と比べてどの栄養素が不足しているか一目で分かる
食事の入力画面。理想の摂取量と比べてどの栄養素が不足しているか一目で分かる
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炎天下、練習に励む筑紫女学園高ハンドボール部の部員たち=福岡市
炎天下、練習に励む筑紫女学園高ハンドボール部の部員たち=福岡市
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ICT活用、判断能力の向上も

 今年の夏も、部活動に汗を流す中高生たちが学校のグラウンドや体育館を走り回っている。酷暑の中、心配されるのが体調管理だ。技術向上の裏で日々、蓄積される疲労。解消には睡眠、食事、そして休養が求められるが、最近は情報通信技術(ICT)を使った管理手法が浸透しつつあるという。取り組みを探った。

   ◇   ◇

 部活動を終えた女子生徒たちが、スマートフォンを取り出して専用のアプリを開く。帰宅中のバスで、電車で、その日の食事のメニューや練習の反省点などを次々と打ち込んでいった。

 福岡市の筑紫女学園高ハンドボール部が、コンディション管理アプリ「Atleta(アトレータ)」を導入したのは昨年12月。きっかけはライバル校の存在だった。「上位校との差を埋めるため、普段の生活から意識を変える必要があった。どの生徒も持っているスマホで利用できるアプリがあると知り採用した」。同校教諭で同部顧問の村山功太さん(39)は、そう理由を話す。

 アプリは有料。導入には保護者の理解が不可欠な一方、全員が自宅から通学しており、毎日の栄養管理などを委ねる保護者の意識改革も狙いの一つだった。保護者への説明で村山さんは「効率的な練習やけがを減らすことにもつながる」と訴えた。

   ◇   ◇

 ハンドボール部では、部員がその日の練習内容や反省点を書き込み、顧問とやりとりする「部活動ノート」が活用されてきた。ノートの記入は帰宅後が大半。「生徒も、返事を書く教師も手間が掛かっていた。アプリで格段に省力化できている」と村山さんは言う。

 アプリの操作は簡単だ。体調を示すのは顔文字。「非常に良い」から「非常に悪い」まで5段階から選び、痛みなど気になる体の部位は正面、背面の図にタッチし、「少し気になる」から「強い痛み」まで10段階を選択する。睡眠時間も記録する。

 朝昼夕の食事は、コンビニのおにぎりなど登録されている約8万5千品目から選ぶ。摂取カロリーとともにタンパク質やビタミン、カルシウムなどの栄養素摂取量と理想の摂取量を比較できるようになっている。

 もちろん、ノートに記入していた練習時の反省点などを書き込む欄もある。データは本人と顧問だけが共有、やりとりもする。主将の2年、小宮沙南さん(16)は「それぞれが課題をつぶしていくため、何をすればいいかが見えやすくなった」と効果を挙げる。

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 アプリの利用を始めて8カ月。同部は今年の福岡県高校総体決勝で敗れ、インターハイ出場は逃した。村山さんは「チームを劇的に強くするというより、食事に関する意識が高まるなど自ら判断する能力が少しずつ養われていくことが大きい」と手応えを感じている。

 アプリの運営会社によると九州7県では現在、宮崎を除く6県の約80の高校、大学の部活動が導入。スポーツ強豪校が目立つという。部員数が多い部活動では内部の競争が激しく、体の故障や痛みを言い出せないまま、悪化させてしまうケースもある。同社は「アプリで選手のコンディションを『見える化』できれば、無理のない活動にもつながるのでは」と説明する。

 長時間の練習など「ブラック化」が指摘される部活動。スポーツ庁は3月、中学生の運動部の活動時間に上限を設け、休養日を「週2日以上」などとする指針をまとめ、全国の教育委員会に通知した。客観的なデータを基に、練習時間を抑えたり、休養日を設けたりするなど、個々人の情報管理にとどまらない活用法が今後、浸透していくポイントになりそうだ。

=2018/08/19付 西日本新聞朝刊(教育面)=

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