高大接続改革(2)生徒の本音 高校生は今

大学入学共通テスト導入に向けて行われた試行調査。新テストに不安を口にする高校生は少なくない=2017年11月、福岡市
大学入学共通テスト導入に向けて行われた試行調査。新テストに不安を口にする高校生は少なくない=2017年11月、福岡市
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変わる授業 募る息苦しさ

 国公立大と一部私立大入学への第一関門となる大学入試センター試験は2020年度、大学入学共通テストに様変わりする。最初に挑むのは今の高校1年生。現行の高校学習指導要領と出題範囲は変わらないため、前年度にセンター試験を受けるなどした浪人生も対象になる。新テストについて、学校現場でさまざまな情報が飛び交い、対策が進められる中、現役の1、2年生には不安や戸惑いの声も広がる。

 福岡市の公立高校1年のミホ(15)=仮名=は6月、学校で配られた1枚のプリントに目を留めた。表題は「新大学入試と高校生活の過ごし方」。新大学入試では学力試験に加え、調査書や志望理由書がこれまで以上に評価される方針で、「ポートフォリオ(活動記録)」の活用が不可欠-といった内容だった。高校で「何を学んだか」を伝えられるようにと、全員に自分用のファイルも配布され、その日から高校生活の活動記録を保存していくことになった。

 今、ミホのファイルにあるのは学校での講演会の感想文と、総合学習の授業の活動記録のみ。「正直、このファイルが後々どういう風に役立つのかイメージできない」と言う。

 古文や英語の授業では、現代語訳や和訳を発表する前に、教師の指示で周囲と話し合い、確認する機会が多くなった。「アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)」を意識した授業だが、中学校の頃からこうしたスタイルで学んできたというミホに抵抗はない。「新テストの過去問がないのはみんな同じ。不安がないと言えばうそになるが、そこまで大きくはない」と話した。

 共通テストで新たに加わる記述式問題。福岡都市圏の公立高校1年、カナコ(16)=同=は夏休みの課外で小論文の授業を毎日受けた。与えられたテーマに沿ってグループで話し合い、専用のノートに意見を記述。課題にも出され「何を書けばいいのか分からない。みんな困っていて、友達同士のグループLINE(ライン)でも、何をどう書くかという話題になる」。

 教師たちは授業でよく「新大学入試は」という言葉を口にし、危機感を持つよう指導する。しかし、まだ1年。将来の夢も、目標の大学も定まらない中、息苦しさだけが募る。「前例がないので学校は私たちにいろいろな対策を求める。ただ、通常の授業でもできるのに、課外で集中的に対応するのは違うと思う」

   ◇   ◇

 一方、2年生は現状をどう受け止めているのだろうか。福岡県南部の高校に通うタカシ(16)=仮名=は「もちろん現役合格が大前提。それでも浪人すれば共通テストの勉強を1年でしないといけなくなる。相当なプレッシャーだ」と話す。

 タカシの高校は公立の進学校で教科の進め方が速い。授業は板書を写し、解き方を覚えさせるような旧来型が中心だ。5月、進路説明のための学年集会で、学校側は新大学入試について「記述が多くなり、自分で考えるようにしないと点が取れなくなる」と強調した。しかし、こうした内容は共通テストを待つことなく、既に各大学の入試でも問われ始めている。

 最近後輩と話していて、1年生の英語の授業が変わったことに気付いた。ペアになった会話で昨年は教科書を音読する程度だったのに今年はディベートに取り組んでいた。英語の「4技能」の必要性を踏まえた実践的な内容だ。

 今のところ2年の授業に変化はない。「2年生のことは見てくれていない。万一の場合、本当に大丈夫なのか」。タカシの不安は膨らむ。

 福岡県筑後地区の公立高校2年、ケイゴ(17)=同=の学校では最近、「民間試験を導入する」など共通テストが話題になる機会が増えた。それでもケイゴは「あまり考えたことはない。後輩は大変だと思うけど」。どこか遠い話だ。

 先日、2年生に向けて教師が「この年代の生徒は志望校を下げてしまう人もいるかもしれないな」と話していた。「新テストを避けるため、落ちたくない人はそう考えるかもしれない。自分はそうしないで済むように勉強するしかない」。大学入試まで1年半、ケイゴは気を引き締めて2学期の授業に臨んでいる。

大学入学共通テスト グローバル社会で活躍できる人材の育成を掲げる大学入試改革の一環として、2020年度に導入する。従来のマークシート式に加え、国語と数学1、数学1Aで記述式問題を採用する。英語は「読む・聞く・話す・書く」の4技能をバランス良く評価するため、英検やTOEICなど、大学入試センターが認めた民間検定試験を活用。23年度までは移行期間として共通テストのマーク式と併存させ、24年度からは民間試験に全面移行する。センターは11月に全国の大学を会場に10万人規模で実施する試行調査を経て、最終的な内容を決める。

=2018/09/16付 西日本新聞朝刊(教育面)=

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