鍵は風力 「浮体式」開発急げ 九大・大屋裕二教授に聞く

インタビューに応じる九州大応用力学研究所の大屋裕二教授
インタビューに応じる九州大応用力学研究所の大屋裕二教授
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 福岡市の博多湾に浮体式の洋上風力施設を設置して実証試験を進めている、九州大応用力学研究所の大屋裕二教授(風工学)に、洋上風力の動向について聞いた。

 ◆送電網整備も課題

 -欧州など世界では洋上風力の普及が早い。

 「日本の取り組みの遅さに危機感を抱いている。欧州では海底への着床式が多いが、浮体式の研究も進んできた。脱原発に向け、再生可能エネルギーの高い普及目標を掲げている先進国は、風力発電にかけていると言ってもいい。日本でも洋上風力が、再生可能エネルギーの普及に最も寄与するはずだ」

 -洋上風力は大型化が進んでいる。

 「1台が数千キロワット級の施設を何台も建てるというのが世界の主流。いわゆるウインドファーム。大規模集中化は脱原発に大きく貢献する一方、送電網の整備が課題となる」

 「だが、それだけではない。私たちが目指しているのは小規模分散型だ。全体で出力数千キロワットの設備を浮かべ、そこから地域の千から2千世帯に電気を供給するようなイメージ。大型化と、地域分散の両方を進めていかないといけないと思う」

 -浮体式の普及はこれからだ。

 「産業化の期待ができるが、急がないと世界に先を越される。日本では、今後本格化する浮体式の実証試験を3年ぐらいで終え、普及につなげたい。北海油田の掘削など洋上の荒波に耐える施設で経験を積む欧州勢は強敵だろう」

 -課題は何か。

 「波などに耐えられる浮体技術の蓄積と風車の大型化を乗り越えないといけない。日本の場合、漁業権を侵害しないように調整することが洋上風力普及で重要だろう。風力発電が漁獲量にマイナスにはならないことを確認しながら、施設の運営に、地元の人たちにも関わってもらい共存していく必要がある」

=2013/03/20付 西日本新聞朝刊=

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