西米良村が投票率日本一 決め手は「住民意識の高さ」

宮崎県西米良村が村内全世帯に置いている「情報告知端末」。参院選の投票日当日は、数時間おきに投票率などを掲載した=7月29日、村役場
宮崎県西米良村が村内全世帯に置いている「情報告知端末」。参院選の投票日当日は、数時間おきに投票率などを掲載した=7月29日、村役場
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 7月の参院選の投票率(選挙区)は市町村別では宮崎県西米良村が91・13%に達し、全国で最も高かった。熊本県との県境に位置し、森林面積が9割を超す同村は、宮崎県で最も有権者が少ないものの、昔から高い投票率を維持してきた。最近の国政選挙の平均投票率が5割程度にとどまるなか、村民が投票所に足を運ぶわけは-。村を歩いた。

 「人口が少ないから、村議選でも1票差で当落が決まったりする。1票の重さを感じるから、やっぱり投票には行きますよね」

 村中心部の商店街でカフェを営む小河彩子さん(56)は語る。14年前、Uターンする夫に付いて東京から移住してきた。国政選挙で期日前投票が始まると、近所で「もう投票した?」と話題になる。「東京とは全然違います」

 同じ商店街の女性(65)は「投票せんと目立つわあ」。7月10日の投票日当日、村の有権者数はわずか1037人。投票所に行かないと村職員にも立会人にも棄権したことが分かってしまう。「どの地区が投票率が高いか、みんな見ちょるとよ」と苦笑いする。投票が1人増えれば投票率は約0・1%、10人なら1%上昇する計算だ。

 村の投票率は2014年の衆院選も90・09%、13年参院選は89・04%、12年衆院選90・81%-。黒木敏浩総務課長は「昔から高く、70%台に落ちたことは記憶にないです」。

 村は近年、投票日には防災無線で数時間おきに村内8地区の投票率を放送。全世帯に光ファイバーで接続した「情報告知端末」を設置しており、投票の呼び掛けと、時間ごとの投票率も流している。

 今回は「18歳選挙権」対策でも18、19歳の新有権者と家族に文書で投票を呼び掛け。多くが村外の大学に通うため、不在者投票の手続きなどを周知し、新たに選挙権を得た計18人のうち16人が投票したという。

 ただ「こうした取り組みは、あくまで後押しにすぎない」と黒木課長。「やっぱり村民の意識の高さでしょう」。村の高齢化率は4割。戦後の復興期にパルプや薪炭生産で活況を呈したが、今は人口流出が止まらない。自営業男性(43)は言う。「産業や経済に余裕がある都市部は政治に関心がないかもしれない。でも、この村はずっと厳しい状態。小さな村の存在感を投票で示そうという意識があるんじゃないかな」

=2016/08/31付 西日本新聞朝刊=

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