「ここで生きるネット」発 中村路子・市民グループ「メリコア」代表

中村路子氏
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 女性が輝く社会 自らの力に気付く機会提供を

 「女性活躍推進」が安倍政権の重要政策となり、地方創生の現場でも、地域に多様な価値観や創意工夫をもたらす切り札として、女性の社会参加に力を入れる自治体が多い。子育てに熱心な主婦は、子どもが喜ぶ「ママ目線」のアイデアが豊富で、口コミ力もすごい。子どもが喜んで集まる場所には、あらゆる世代の人が集まる時代だ。地域おこしに彼女たちの力を借りない手はない。

 ただ子育てや家事で制約の多い女性には資格や特技があっても、それを社会でどう生かせばいいのか分からないという悩みがある。そんな母親たちが、福岡県久留米市で市民団体「メリコア」を立ち上げて5年目になる。目指すのは趣味や専門性を生かして自由に働ける社会だ。

 当初、築40年を超す古アパート8部屋を借り、ネイリングやヨガ教室、手芸工房などメンバーの「起業」に活用した。企業や行政から親子向けイベントなどの企画運営を依頼されることも増え、新たな人材も巣立っている。手芸作家になりたくてメリコアに参加した30代の女性は、学生時代にチアリーディングをしていた経験を買われ、あるイベントでダンスを指導。これを機にチアの指導資格を取得し、本格的な子ども向け教室を立ち上げた。保険の営業職だった30代の女性は舞台イベントの面白さに目覚め、「もっと自由に、深く関わりたい」とカフェの経営を始めた。ライフワーク(天職)を見つけた女性は、なんと幸せだろう。

 女性が輝くための施策に必要な視点は何か。メリコアは社会参加や人材マッチングなど数多くの機会を提供するとともに、本人の「気付き」を大切にしている。具体的には月に1回、3時間の会議に参加してもらい自分の夢や乗り越えるべき課題、悩みを自分の言葉で語ってもらうのだ。仲間たちが受け止め、共に語り合うことで、本当の自分に気付き、自信になる。自分の力を知った女性は強い。

 女性活躍をうたう国や自治体でも、能力開発や社会参加の機会を幅広く提供することはもちろん、一歩踏み出すことに不安を感じる女性の相談に乗るなど、きめ細かい支援が必要ではないか。

 メンバーの活動の場が広がったメリコアは、このほど古アパートから事務所機能を除いて撤退し、新たなステージに入った。女性が自分らしい仕事に出合える地域モデルをこの久留米で確立し、全国に広げたいと願っている。
(談)

 中村 路子氏(なかむら・みちこ) 1981年生まれ、福岡県久留米市出身。メークと同時に心理カウンセリングを行うメークセラピストの資格を持つ2児の母。

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 地域活性化に取り組む「ここで生きるネット」メンバーの意見や見解、見識を月に1度、紹介します。

=2017/01/27付 西日本新聞朝刊(オピニオン)=

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