「ここで生きるネット」発 前川健太・フレッサ福岡代表

前川健太氏
前川健太氏
写真を見る

 アスリート×農業 新しい移住の形も目指す

 昨年1月、福岡県糸島市を拠点にした男子ハンドボールのクラブチーム「フレッサ福岡」を立ち上げ、代表に就きました。2018年の日本ハンドボールリーグ(JHL)参入を目指しています。

 フレッサの特徴は10人いる選手全員が「農業従事者」であること。クラブ側が選手を地元のイチゴ農家などに紹介し、研修生として働いて収入を得る仕組みをつくりました。

 ハンドボール選手を取り巻く環境には厳しいものがあります。実業団中心のJHLは景気悪化などで休廃部が相次ぎ、現在の男子チーム数は9。最盛期の半分程度です。学校を卒業して、これらのチームに入れる選手はほんの一握り。大半がキャリアを20代そこそこで終えるのです。フレッサの設立はそんな才能ある若い選手を福岡で育て、大舞台に送り出したいとの思いが結晶したものでした。

 とはいえ頭を悩ませたのは運営費不足です。そんなとき、知人から糸島の農業経営者を紹介してもらいました。経営者の話では農家は人手不足が深刻で、後継者育成に不安を抱いているということでした。農業従事者の高齢化も進み、「未来が描けない」という話も聞きました。

 そこで双方をマッチングして、課題を解決し合うモデルケースづくりに取り組むことにしたのです。選手は昼間、農家で働き、夜は練習に励む。農作業は体力強化になるし、農業のノウハウを身につければ引退後のセカンドキャリアに生かせます。選手たちはこの条件を理解し、覚悟を持った上でクラブの一員となりました。九州のみならず岩手や神奈川、石川などから移住してきたのです。

 農家も働き手としてだけでなく、地域コミュニティーを支える「若手住民」として選手たちを受け入れてくれています。「フレッサが活躍して、地域の誇りとなって」という言葉もよく聞きます。

 スポーツチームが核となり、地域活性化の一躍を担う。フレッサの取り組みは、他の地域でも応用できるものだと考えます。指導者などの人材、練習施設、地元の受け入れ態勢など整えるべき条件はたくさんありますが、活動拠点を求めているアスリートはハンドボールだけではありません。うまくマッチングができれば若者たちが移住し、地域に夢と希望を与えることも可能でしょう。フレッサがスポーツと地域を結ぶ「先行事例」となれるよう、頑張ってゆきます。
(談)

 前川 健太氏(まえかわ・けんた) 1978年生まれ、福岡市出身。福岡県警勤務後、現職。フレッサ福岡は昨年7月、大分市であった全国クラブハンドボール選手権大会・西地区大会で優勝した。

   ◇   ◇

 地域活性化に取り組む「ここで生きるネット」メンバーの意見や見解、見識を月に1度、紹介します。

=2017/02/24付 西日本新聞朝刊(オピニオン)=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]