関連死「絆」で防いで 国の防災会議委員、村野淳子さんに聞く

「地域住民のつながりをどう維持するかが大切」と語る村野淳子さん
「地域住民のつながりをどう維持するかが大切」と語る村野淳子さん
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 九州豪雨から1カ月が過ぎた。国の中央防災会議防災対策実行会議委員で、別府市の防災推進専門員を務める村野淳子さん(54)に、被災地にこれから必要なこと、今後の災害に行政や住民はどう備えるべきかを聞いた。

 -九州豪雨では、どう支援に関わりましたか

 日田市に3度行きました。7月11日が最初で、まずボランティアセンターの運営方法について協議しました。東日本大震災や熊本地震での経験を踏まえ、ボランティアを必要としている人の「見える化」を進めました。被害の大きな日田市中心部、大鶴地区、小野地区の地図(縦1・5メートル、横4メートル)をそれぞれ用意し、最も目立つところに張り出しました。地図にはボランティアを必要としている家をマークしました。すると、同じ地区なのに必要としていないことになっている家が1、2軒あることに気付く。市の社会福祉協議会などに現地へ行ってもらい、本当に必要ないか確認してもらいました。多くは、ボランティアに来てもらうことをためらっていました。

 -ほかに「見える化」のメリットは

 作業場所を赤色ペンで四角に縁取りし、完了すれば中を青色で塗りつぶします。地区に青色が多くなれば、作業も終盤ということが誰の目にも分かります。災害支援においては行政側も終わりが見えないことが一番疲労がたまります。見える化は、住民、行政双方にメリットがあります。

 -災害対応で大切なことは

 大災害では民間の力を生かすことで、その後の復旧・復興が早まります。その中心となるボランティアセンターを立ち上げるかどうかの判断をはじめ初動がとても大切です。阪神大震災を契機に組織された「震災がつなぐ全国ネットワーク」など、災害の現場をよく知る多くの民間団体が今回、現地に入りました。そうした団体の意見も聞き、力を使いこなせるかどうかは、受け入れ自治体の胆力にかかっています。あふれかえる支援要望を、即決で裁いていく力が肝要です。

 -これから被災地が気をつけるべき点は

 せっかく助かった尊い命を、避難所やみなし仮設などで亡くなる「関連死」にさせないこと。これに尽きます。東日本大震災では、避難所での生活、仮設住宅やみなし仮設での孤独の中で命が奪われました。行政と住民を結ぶ人材が不足していたと痛感しました。絆を結ぶ人材を地域で育成する努力が必要です。

 -具体的にはどんなことでしょう

 まずは日頃から優良なNPOなどと良好な関係を構築すること。緊急時に全国から支援にやってくる団体から、好ましくない団体を見抜く眼力も備えておく。障害者や高齢者など特に配慮が必要な方々が、今何が必要かを判断できる想像力など、求められる能力は多く、育成には時間がかかります。行政には、すぐ成果の表れない部分に人と予算を付ける持続力も必要です。中津市などではそんな人材が育ち、日田でも活躍しています。

 -日田市や中津市では集落内で声を掛け合い、避難したケースも多かった。大分市、別府市など都市部でできるでしょうか

 確かにマンションなどでは、隣の住民の顔すら知らないということはよくある。ただそれで何もできないとは思いません。たとえば小中学校の運動会などの行事で、地域競争をするのはどうでしょうか。防災に関係する借り物競走などもいい。住んでいる地域同士で競えば自然と熱くなる。そんな中で顔ぐらい知っている関係をつくっておく。あの家庭はシングルマザーだとか、子どもさんに配慮が必要など分かればなお良い。そんな情報が緊急時には大切になります。「顔見知り」にはなれなくても「顔くらい分かる」関係があることがとても重要です。

 村野淳子さん 1963年、東京都出身。2003年の宮城県北部地震時に被災地支援を経験。その後も福岡沖地震(05年)、東日本大震災(11年)などで支援活動を行ってきた。現在は、別府市職員として障害者ら要配慮者の個別支援計画のモデル作りをはじめ、避難所生活での災害関連死などをなくす「備災」「減災」活動や災害時に活躍する地域リーダー育成などを行っている。

=2017/08/09付 西日本新聞朝刊=

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